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「超冷却Tシャツ」が人気 “ひんやり”アイテムにどんな技術が詰まっているのか猛暑に商機 「ひんやりグッズ」の狙い(3/5 ページ)

クラウドファンディングを実施中の「超冷却Tシャツ」が1600万円を超える応援購入額を集め、ヒットしている。4月には同じ素材を使用した「超冷却ブランケット」もプロジェクトを実施しており、4000万円を超える応援購入額が集まった。「マイナス15度の究極冷却テクノロジー」が使われているというが、一体どんな技術なのか。

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先進的な後加工技術「カバロステクノロジー」

 アパレルの深い知識を持たない筆者のような一般消費者からすると、ユニクロの「エアリズム」やニトリの「Nクール寝具」などとどう違うのかと疑問がわくが、鈴木氏は「できあがっている生地に対して、後加工でさまざまな機能を付与する技術が当社の優位性だ」と説明した。


繊維商社での勤務を経て、06年にハップ社を創業した鈴木氏

 公式Webサイトを見ると、エアリズムは「極細繊維でできた特殊繊維が、汗を素早く吸収。優れたドライ機能で汗のべたつきやムレを解消」とあり、Nクール寝具は「特殊な加工により糸に冷たさを感じる鉱石を練りこんでいる。糸に練りこむ鉱石の量や糸の編み方により冷たさは変わる」とある。いずれも、完成した生地への後加工ではないことが分かる。

 それに対してカバロステクノロジーは、抗菌、消臭、UVカット、セルフクリーニング、遮熱、冷感、温感、吸水拡散(ベタつき軽減)、透け防止、汗じみ軽減、毛玉防止などの10以上の機能を1工程で生地に同時付与できる。首元や脇下は冷やし、腹部は温めるといった部分的な後加工も可能だ。通気性や風合いを維持しながら、耐洗濯性が高いメリットもある。

 後加工には「イオン結合」というアプローチを採用しており、製造工程時の水やエネルギーの使用量を大幅に削減する工夫をしている。着用後、衣類をリサイクルする際に必要な「機能性除去」も可能だ。つまり、現代主流のサステナブルにも配慮されている。このカバロステクノロジーは、23年に内閣総理大臣賞を受賞し、ますます注目度が高まっている。


「超冷却Tシャツ」は外出着から部屋着、寝巻きと、あらゆるシーンで活躍しそうな1枚

 実際、ミドルからローまで幅広いブランドとの取引実績がある。ハップ社には、企画・開発・製造までの一連を委託するODMと、製造のみを委託するOEMメーカーの機能があり、自社開発の素材を使用して多くのアパレルブランドに製品を納品している。

 そうした実績を積み重ね、23年に自社ブランド「カバロスウルトラシリーズ」の展開を開始し、その製品をクラウドファンディングで発表しているのだ。

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