「ファミリーベーシック」って知ってる? ファミコン関連機器と『カービィ』『スマブラ』の関係:経済の「雑学」(2/3 ページ)
40周年を迎えた家庭用ゲーム機「ファミコン」は関連商品の豊富さでも知られる。その代表格がプログラミング可能な機器「ファミリーベーシック」。当時としては異色の商品で、後の人気ゲームの“生みの親”という輝かしい功績を持つ。
『カービィ』『スマブラ』生みの親が熱中
任天堂を世界的な企業に押し上げたファミコンとは異なり、地味な印象があるファミリーベーシック。事業として成功したとは言い難いが、その後のゲーム業界に衝撃を与える1人の偉人を生んでいる。
その名も桜井政博氏。後に『星のカービィ』『大乱闘スマッシュブラザーズ』などの大ヒットゲームを生んだ人物だ。当時、中学生だった桜井少年は、お小遣いを半年分貯めて、ファミリーベーシックを購入。プレイを通じて、ゲーム開発の基礎を学んだ。
桜井氏は自身の公式YouTubeチャンネルで公開した動画で「もし私がファミリーベーシックに触れていなければ、ゲーム業界に入っていなかった。そうすると『カービィ』も『スマブラ』も生まれていなかったことになる」と語っている。
桜井氏は高校入学後も、アルバイトをしながらゲームの購入と研究を繰り返し、卒業後の1989年、ゲーム開発会社のハル研究所に入社。社内公募がきっかけで誕生したゲームボーイ用ソフト『星のカービィ』(92年)はゲーム内容はもちろん、初心者でも楽しめる点が話題となり、世界累計500万本以上の販売実績を記録した。
ニンテンドー64用ソフト『大乱闘スマッシュブラザーズ』(99年)は、カービィ同様に初心者でも楽しみやすい操作性やゲーム作品の垣根を超えた人気キャラクターの共演、体力ゲージではなく、ダメージの蓄積で場外に吹っ飛ばすなどの要素が高評価を受け、大ヒットタイトルとなった。
どちらのタイトルも任天堂がその後に発売するゲーム機でシリーズ作品として発売しており、ゲーム機本体の売り上げ拡大と普及に貢献している。カービィは昨年誕生30周年、スマブラは来年25周年を迎える。このように、ファミリーベーシックは1人の偉大なゲームクリエイターを生み出した。
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