「ファミリーベーシック」って知ってる? ファミコン関連機器と『カービィ』『スマブラ』の関係:経済の「雑学」(3/3 ページ)
40周年を迎えた家庭用ゲーム機「ファミコン」は関連商品の豊富さでも知られる。その代表格がプログラミング可能な機器「ファミリーベーシック」。当時としては異色の商品で、後の人気ゲームの“生みの親”という輝かしい功績を持つ。
ゲームでプログラミング学習 他社も参戦
近年、IT技術の発展などでプログラミングに注目が集まっている。教育現場ではプログラミングの授業が必修科目となり、25年実施の大学入学共通テストから「情報」が追加。プログラミングが大学入試の受験科目になる。
こうした動きを背景に、セガはアクションパズルゲーム『ぷよぷよ』をプログラミングの学習教材にした『ぷよぷよプログラミング』を教育現場に提供中。現役社員が出張授業することもある。米マイクロソフトの人気ゲーム『マインクラフト』でプログラミングを学ぶ取り組みもある。
各社の取り組みに負けじと、“本家”任天堂も、21年6月にSwitch用ソフト『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』(はじプロ)を発売した。ファミリーベーシックの発売から37年後のことだった。対象年齢は6歳以上となっており、子どもでも簡単にプログラミングの基礎を学べる商品として高い評価を得ている。
香川県では、家庭でのゲームプレイ時間を制限する条例が成立したが、「eスポーツ」の台頭や、プログラミング教材としてのゲーム活用という最近の動向を見ると、「ゲーム=遊び・娯楽」という考えは、もはや古い価値観といえる。
しかし、今以上にそうした古い考えが根強かった80年代の日本において、ファミリーベーシックは教育要素を含んだ異色の商品として発売され、1人の少年のその後の人生に大きな影響を与えた。桜井氏のような魅力的なタイトルを生む、数々のゲームクリエイターがいることで、ゲーム分野では現在も、日本が世界で高い競争力を維持できている。
ファミリーベーシックが桜井氏に影響を与えたように、ぷよぷよプログラミングやはじプロでゲームプログラミングに興味を持った人が、ゲーム業界に入り、新たなヒットゲームを生む。そんな循環を期待したい。
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