「生ジョッキ缶」の“もこもこ泡”、実は進化していた あまり知られていない2つのポイント:経済の「雑学」(2/3 ページ)
アサヒビールは、「生ジョッキ缶」第2弾となる「アサヒ食彩」を発売しました。生ジョッキ缶の特徴は、なんといっても「泡」。きめ細かい“もこもこ”の泡は、どのようにして生まれたのでしょうか?
クレーターで泡を作り出す
シャンパン用のフルートグラスは、注いだときに小さな泡が出ます。これはグラスの底に小さなキズをつけていて、そこに炭酸ガスが当たることで発泡しているのです。この原理にヒントを得た開発メンバーは、缶の内側をあえて“荒らす”ことを思い付きました。
ではどうやって、缶の内側をあえて荒らすのか。何十回もの試作を繰り返す中で、ある特殊な塗料にたどり着きました。この特殊な塗料を缶の内側に施すと、内側は凸凹したクレーター状になります。フタを開けたときの気圧差による自然発泡が、クレーターによって増幅されるという仕組みです。フルートグラスの底のキズを、内側をクレーター状にすることで再現し、泡を缶の内部から生み出すことに成功しました。
飲料缶で前例がなかったフタ
さて、生ジョッキ缶はもこもこの泡が注目されがちですが、実はフタにも大きな特徴があります。フタを開けてそのまま缶のフチに直接口をつけて飲むため、口や手が切れないよう「ダブルセーフティ構造」を採用しています。同社によれば、この構造を飲料缶で採用したのは前例がないとのこと。
生ジョッキ缶は2021年4月に発売したものの、品切れが相次ぎ、一時休売になっていたのを覚えているでしょうか? 消費者の中には「ビールそのものが足りないのね」と思われた人もいらっしゃるかもしれませんが、実は違っていて。このダブルセーフティ構造のフタをつくるのに時間がかかって、「もう間に合わない!」となって一時的に休売に追い込まれたのです。
その後、生ジョッキ缶は22年7月に通年販売に切り替わりました。その最大の要因として、フタをたくさんつくれるようになったから。製造ラインを1ラインから6ラインに強化していたのです。
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