「タテシナ会議」で、TRIギル・プラットCEOが語った未来:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)
長野県茅野市で、4年ぶり2回目となる「タテシナ会議」が開催された。自動車メーカーやサプライヤー、業界団体のトップなど、そうそうたるメンバーが名を連ねたが、そこでTRIのギル・プラットCEOが語ったことは……。
7月18日、長野県茅野市で、タテシナ会議が開催された。と言われても「ああ、あれか」という人はまだ少ないだろう。ロールモデルになっているのはダボス会議である。毎年1月、スイスの山岳地帯で開催されるダボス会議には、世界の多くの地域から、国、自治体、企業、団体などのリーダーが集まり、世界の課題について意見を交わす。
タテシナ会議は、これに範を取って、交通の課題を扱う国際的な取り組みを目指して出発し、2023年、コロナ禍での中断から4年ぶり2回目の開催となった。交通問題の中でも、とりわけ死亡事故ゼロに向けた意見交換が活発に行われた。
出席リストには、自動車メーカー、サプライヤー、保険会社や業界団体のトップなど、そうそうたるメンバーが名を連ねた。自動車メーカーでは、トヨタ自動車からは豊田章男会長、佐藤恒治社長、以下主だった役員のほとんどが出席。スズキの鈴木俊宏社長、マツダの毛籠勝弘社長、スバルの大崎篤社長。
サプライヤーではデンソー、アイシン、豊田自動織機、愛知製鋼、ジェイテクト他の各社長、保険会社では損害保険ジャパン、あいおいニッセイ同和、東京海上日動、三井住友海上、MS&AD他の各社長という具合に自動車産業に携わる100人を超えるリーダーが一堂に会した。
なぜ「タテシナ会議」なのか
タテシナ会議のきっかけとなったのは茅野市にある「蓼科山聖光寺」である。かつて交通戦争といわれて、交通事故死亡者が1万6765人にも達した1970年、当時のトヨタ自動車販売の社長であり、“販売の神様”の異名を持った神谷正太郎氏が創建した寺院である。
例年7月17、18日には聖光寺の夏季大法要が営まれる。トヨタ自動車は創建以来50年以上にわたって、社を挙げてこの法要を支えてきた。この法要に、地元茅野市の出身であり、当時マツダの社長であった小飼雅道会長が出席したのがきっかけになった。
交通安全、しかも交通死亡事故ゼロを目指していくのであれば、トヨタ一社でできる話ではない。広く自動車産業にかかわる人々を招いて、自動車産業全体で事故ゼロを目指していく方向が定まり、タテシナ会議が発足したのである。
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