オーシャンビューなのに2000万円台 単身女性が買う「海の見える家」の正体とは?:コロナ禍を経て変わる「住」(2/3 ページ)
三浦海岸できちんと目の前に海が見えるリゾートホテルが、分譲マンションにコンバージョン(建物の用途変更)して販売されているという。しかも、高騰する都心部に比べると価格もお手頃。進化するコンバージョンと、海の見え方を確認しに三浦海岸に向かった。
購入対象者を2パターンに分ける
それに比べると三浦半島、京急沿線はまだ手頃。しかも、京急は都内に1本で行け、駅のない葉山などに比べると利便性も高い。問題は本当に建物の用途変更が可能かどうかだった。
「寮や社宅を賃貸住宅にする例はよくあります。その場合には洗濯機置き場を設置、キッチンを電熱器からガスに交換、メールボックスを新設するなど設備面の追加を実施します。ですがホテルから住宅となると用途変更が必要で、これまでにやったことがありませんでした。この用途変更にはさまざまな対応が必要だったので苦労した点も多くありました」(リストプロパティーズ アセット事業部 大泉篤氏)
同社がさまざまな対応や苦労を経て販売を開始したのは22年4月。建物の経緯が面白いだけでなく、売り方も一味違う。まず、購入対象者として想定しているのは、海の見える部屋を喜ぶ首都圏の人たちと眺望に慣れている人たちの2パターンだ。
「首都圏から来る人は眺望に価値を感じますが、地元の人たちからしたら海はいつも見ているもの。そこにわざわざ高い金額を払おうとはしません。眺望のある・なしによって価格差をつけることで、オーシャンビューの部屋のみならず、低層階、海側向きでない部屋も順調に売れています」(大泉氏)
低層階では2000万円を切る67平方メートルの2LDKなどがあり、価格や立地で考えるとお手頃感がある。しかも、リビングは25畳以上と広く取った間取りで、地元の一般的なファミリータイプの賃貸よりはるかにスタイリッシュ。今時の新築にはない廊下幅、共有廊下と住戸の間の吹き抜けなどバブル期独特の贅沢(ぜいたく)な造りも人気の理由だ。三浦海岸周辺は物件数が少なく比較は難しいが、駅から徒歩圏で団地のような田の字間取りではない、2000万円以下のカップル・ファミリー向き物件はそもそも少ない。
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