7年前に大ブレイクした「水平開きノート」、その後どうなったの?:あの話題は今(2/4 ページ)
1つのツイートが大当たりして注文が殺到、それから7年以上が経過した「水平開きノート」。売り上げを大きく伸ばしたが、その後はどうなっているのか。同製品の開発者である中村印刷所の中村輝雄社長を取材した。
ツイートが大バズリ、過去最高売上に
「ようこそ」と明るい笑顔で迎えてくれた中村氏。親しみやすい印象だが、話を聞くと「人がやらないことをやる」精神を持つ野心家の面が見えてくる。
そんな中村氏が、自社の近くで製本会社を営んでいたある男性とともに3年半の歳月をかけて開発したのが、180度に開く「水平開きノート」だ。紙媒体が電子媒体に変わるにつれ、どんどん経営が悪化。廃業するしかないか――と追い込まれたとき、市場に見当たらなかった「水平開きノート」に光を見出したのだ。
「真っ平らに開くようにするには、柔軟性と強度の絶妙なバランスが求められます。一度使ってもらえば利便性が分かるのですが、時間とコストがかかるので通常のノートの約3倍の販売価格になってしまう。しばらく売れなくて困っていたところ、あるツイートをきっかけに状況が一変しました」
共同開発社の男性の孫娘が16年1月1日、Twitterにノートの特徴を画像付きで説明する投稿をした。すると、あっという間にリツイート数が3万を超え、予想以上にポジティブな反響を得たのだ。それをきっかけにノートを求めて会社に大勢の人が押しかけ、電話やファックス、メールでひっきりなしに注文が入るように。
注文数は2〜3日で3万部を超え、16年の売り上げは4500万円に。それ以前の3倍であり、過去最高の売り上げだ。その状況が3年続いたという。
「いまとなっては感謝、感謝ですが、最初は何が起こったのか分からず困惑しました。注文をさばくために、毎日早朝から深夜までノートづくりにかかりっきり。でも感謝の手紙をいただく機会が増え、うれしかったですね。状況が少し落ち着いてからは、企業のノベルティや周年行事の配布用として数百万単位の注文がいくつも入り、とても助かりました」
その後、売り上げがどうなったかというと、徐々に落ち込んでいき、コロナ禍に入ると店頭での売れ行きが落ちたことでさらに下降。最近になって、ようやく売り上げが戻り始めた。現在は店頭販売よりネット販売が伸びているそうだ。
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