男梅サワー、塩分量変えずに「しょっぱく」 サッポロビールのAIシステムが“驚きの”提案(2/3 ページ)
「サッポロ 男梅サワー 通のしょっぱ梅」は、通常よりもしょっぱさが増した商品だ。なのに、塩分量をほとんど変えていない。背景には、AIからの“驚きの”提案があった――。
「しょっぱくしたい」 AIの“驚きの”提案は?
男梅サワーは「しょっぱい旨さ」が特長のアルコール飲料だ。今年ブランドの10周年を迎えるにあたり、その「しょっぱい旨さ」をよりとがらせた新商品を開発したいと考えていた。
しかし、しょっぱさを追求するために「塩」を追加することができず、悩んでいたという。
「缶は塩を大量に使用すると腐食してしまうため、塩を足す以外の方法でしょっぱさを感じられる味わいにする必要がありました。塩分はたくさん足さずに“しょっぱい感覚”を得たいと考えていたのです」(岩佐さん)
どうやったら塩を使わずによりしょっぱい味わいに仕上げられるか――。開発の初期段階で、AIシステムN-Wing★が活躍する。これまでは開発者の腕の見せ所だった部分だが、N-Wing★があれば、過去の知見を基に、固定観念を排除して、よりしょっぱく感じられる原料をただ機械的に選んでくれる。
「自分たちは『こんな原料を使っても効果がない』と思いこんでしまっている内容も提案してくれるので、信じがたいというか、驚いてしまうような提案が多かったですね」(永安さん)
N-Wing★は、しょっぱさを高めたいと言っているのに「爽快感」をアップさせるような原料を選んできたという。他にも「かんきつ系」のフレーバーを提案してきた。
「人間では思い付かない提案ばかりで面白かったですね。半信半疑で試飲してみると、どれもそれなりにしょっぱさが増しており、N-Wing★はウソをついていなかったんだなと。N-Wing★の提案の中から、男梅サワーが目指す風味から外れないように開発を進めました」(永安さん)
最終的には、通常は清涼感を与えることに影響するフレーバーを男梅ブランドとして初めて使用。これにより、通常の男梅サワーから塩分量をほとんど変えず、梅干し感やしょっぱさを強めることができたという。
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