スタバへの「タンブラー持参」が1.7倍に 新たな「部活動」が後押し:アプリでクマ育成(1/3 ページ)
スタバがこの夏、顧客を巻き込んだ“部活動”を始動させた。タンブラーをもっと楽しく気軽に、そして継続的に利用してもらうことを目指した顧客参加型のプロジェクト「タンブラー部」だ。同プロジェクトが開始した5月31日からの1カ月間で、タンブラーの利用は124万杯を突破するなど好調だ。
スターバックス コーヒー ジャパン(以下、スターバックス)がこの夏、顧客を巻き込んだ“部活動”を始動させた。
タンブラーをもっと楽しく気軽に、そして継続的に利用してもらうことを目指した顧客参加型のプロジェクト「タンブラー部」だ。同プロジェクトが開始した5月31日からの1カ月間で、タンブラーの利用は124万杯を突破。前年の月間利用回数と比較して1.7倍を記録しており、好調だという。
タンブラー部の面白さは「部活」というコンセプトだけではない。店舗とデジタル、さらには商品を掛け合わせることで効果を最大化しているのだ。
「デジタル上の体験やコミュニケーションを、店舗でのパートナーとの会話につなげるよう意識しています」
こう話すのは、デジタル戦略本部の山根由実さん(CRM部データベースマーケティングチーム)だ。店舗での体験価値を重視するイメージが強いスターバックスだが、デジタル上の戦略ではどうやって“スターバックスらしさ”を表現しているのだろう。
タンブラー利用で「クマが育つ?」 部活の内容
タンブラー部は顧客参加型のプロジェクトで、コンセプトは「部活」や「仲間」。タンブラー利用者を「TUMBLers(タンブラーズ)」と名付け、パートナー(スターバックスで働く従業員)は「応援マネジャー」として活動を盛り上げる。
5月31日からの1カ月間は「入部歓迎イベント」と題し、店頭やデジタルなど横断で大々的にキャンペーンを展開した。
店頭では、タンブラー利用は通常20円値引きのところを50円値引き(全て税抜)にした。また、タンブラー部のロゴが入ったリユーザブルカップをはじめ、さまざまな種類、サイズのタンブラーを投入。「POPやポスターでも情報を発信し、タンブラー部一色にしました」(山根さん)
さらに、タンブラー部の公式フラペチーノとして「瀬戸内 レモンケーキ フラペチーノ」を発売し、活動を盛り上げた。
デジタルの施策では、タンブラー部の特設ページを用意し、1カ月間のタンブラー利用回数を可視化。「30万杯突破でカスタマイズ値引き」など、利用杯数に応じてプレゼントキャンペーンも実施した。「『みんなで達成しよう』と一体感を醸成したいと考えました」(山根さん)
ロイヤリティー強化に向けた施策も展開。Web登録済みのスターバックス カードで買い物するとStarというポイントがたまるプログラム「スターバックス リワード」の会員を対象に、タンブラー部の「部室」コンテンツを用意した。マイタンブラー利用の回数に応じてベアリスタ(同社のキャラクター)が衣装やステータスを変え、成長する。
「スターバックスでは、タンブラーがもっと身近で、使うことが当たり前な日常になればいいなと考え、これまでもさまざまな提案をしてきました。しかし、値引きのキャンペーンなどで盛り上げても一過性になってしまうし、サステナビリティや環境保全というメッセージばかり伝えても『興味が湧かないな』『難しそうだ』と感じてしまう人もいると思います。
そこで、今回は自発的にタンブラーを使いたくなる仕掛けを検討し『楽しさ』を前面に伝えています。今回のキャンペーンでは、一言も『脱プラスチック』『CO2削減』などの言葉は使用しませんでした。
お客さまは、キャンペーンの内容が面白そうだと思えばタンブラーを使ってくださると思います。また、使えば使うほど楽しい体験であれば、継続して利用する人も増加すると考えました」
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