スタバへの「タンブラー持参」が1.7倍に 新たな「部活動」が後押し:アプリでクマ育成(2/3 ページ)
スタバがこの夏、顧客を巻き込んだ“部活動”を始動させた。タンブラーをもっと楽しく気軽に、そして継続的に利用してもらうことを目指した顧客参加型のプロジェクト「タンブラー部」だ。同プロジェクトが開始した5月31日からの1カ月間で、タンブラーの利用は124万杯を突破するなど好調だ。
デジタルの体験を店舗での「会話」につなげる工夫
スターバックスは店舗での体験に強みを持つ印象が強いが、今回はべアリスタの育成やWebサイト上でのタンブラー利用数の可視化など、デジタル施策でも大きな盛り上がりを見せた。
山根さんは、デジタル施策を考えるうえで常に意識していることが2つあると話す。
1つは「デジタル上でも店舗パートナーに接客されているのようなあたたかさ」や「スターバックスらしいファンな体験」を提供すること。ビジュアルだけではなく、使用する文章の語り口調なども含めてこだわっているという。
「今回のタンブラー部では、べアリスタを使用することで、環境に配慮した取り組みでありながらも『真面目』『堅苦しい』という印象を排除し、『楽しさ』を訴求しています。べアリスタがタンブラーを使用するたびに成長したりステータスが更新されたりする様子が、当社が大切にしている“ワクワク感”の醸成につながっていると思います」
2つ目は「デジタル上のコミュニケーションを、店舗でのパートナーとの会話につなげる」こと。同社では、パートナーが通常の接客に何らかの一言を添えて、客との会話のきっかけを生み、つながることを「コネクト」と呼んでいる。
「スターバックスのお客さまはパートナーとの会話を楽しみにしている方がすごく多いんです。デジタル施策をきっかけに、パートナーとお客さまの会話(コネクト)が生まれるように意識しています」
「タンブラー部では、期間内にタンブラー利用回数が70万杯を突破した際、限定のスターバックス カードをプレゼントしました。すると、会計時にカードを見たパートナーが『タンブラー部に参加してくださったのですね』と声をかける様子が見られました。他にも『私は今、べアリスタがこんなに成長しているんです』とパートナーに話してくださるお客さまも。
このように当社では、デジタル施策を考えるうえで、店舗での会話につなげることを強く意識しています。特に、店舗に負荷をかけすぎず、デジタルで完結する体験を提供するよう工夫しています。
例えば、べアリスタの部室コンテンツはWeb上で完結する体験です。店舗でパートナーにべアリスタを見せるかどうかは、お客さまに委ねています。私たちはあくまできっかけを作るだけで、お客さまやパートナーに強制はしません。『1人でも楽しめるけれど、そこから店舗での会話が広がるきっかけにもなる』体験を重視しています」
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