「新宿駅」と「渋谷駅」はなぜ複雑になったのか:経済の「雑学」(3/4 ページ)
東京には巨大ターミナルが複数あるが、新宿駅や渋谷駅は非常に複雑化している。一方、東京駅は規模のわりには複雑さがないのはなぜか。その理由は……。
皇居を前にした東京の中心駅はターミナルになるべくしてなった
この国に初めて鉄道が開業した際のターミナルは、新橋駅である。しかも現在の新橋駅の場所ではなく、汐留あたりにあった。
官設鉄道の新橋駅、日本鉄道の上野駅、甲武鉄道の飯田町。後にすべて国有化されるものの、それらターミナル間で接続問題が発生していた。その問題を解決するために、高架線で一個所にまとめる構想が明治時代にはすでにあった。中心駅を作ろうとする計画が長年議論され、その結果できたのが東京駅である。
東京駅の改札を出ると皇居への道があることからも、日本の中心駅であることを意識したつくりとなっている。1914年の開業当時には既に4面8線の駅となっており、長距離旅客列車の発着を十分に意識した構造となっていた。
東京の中心駅としてつくられた東京駅は、駅舎も単純な構造ではなく、今も残る赤レンガの堂々たる姿である。当時の建築界の第一人者である辰野金吾氏により設計され、東京という都市の存在感を示すのにふさわしい駅舎だ。
もちろん、上野駅方面との直通や、東海道本線、横須賀線の列車本数増加、新幹線の開業にともない、ホームは増えていく。東京駅の横須賀線、総武線、京葉線は離れた場所にホームがあるが、このほかの路線は並行している。しかも東日本と東海の違いこそあっても、ここまではすべてJRである。もともとは「国鉄」であり、ほかの大きな駅のようにJRに複数の私鉄や地下鉄が入り乱れているわけではない。地下鉄は東京メトロ丸ノ内線だけである。
日本の中心駅としてつくられた東京駅は、計画的に発展したこともあって、大規模のわりに複雑さがないことが特徴である。
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