新興SNS「スレッズ」は「X」に勝ち目なし? ブームはなぜ沈静化したのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/3 ページ)
新興SNS「スレッズ」の利用数が伸び悩んでいる。その背景要因を考察する。
スレッズに勝ち目がない可能性
もっとも、これがXとスレッズというライバルSNS(マイクロブログ)の勝負の「代理決戦」ならば、もはや両者は戦う必要はない。なぜなら、スレッズには現時点ではすでに勝ち目はなさそうだからだ。
スレッズは7月5日に公開された。すると大手SNS企業が新しいSNSを立ち上げたことで大きな話題になり、サービス開始から5日で1億ダウンロードを記録した。
ところが、その熱狂はあっという間に鎮まったようだ。ダウンロード数は1億5000万を超えたとの報道もあるが、マーケティング情報を提供する米センサータワーの情報によると、10日ほどでエンゲージメント(ユーザーがスレッズを使う時間)が50%も低下し、7月31日時点で1日の利用者数が82%も減少しているという。
スレッズへの移行メリット薄い
この敗因はどこにあるのだろうか。まずはスレッズでなければいけない理由がなかなか見えないことだ。旧ツイッターを離れた人を惹きつけるにも、そこで親しまれてきたタグのような機能もないし、投稿検索もない。
PCのブラウザで使えるようになったのもつい先日のことで、今後、さらにツイッターに寄せていくことになり、ハッシュタグのような機能も提供すると述べているが、それもまだ先になりそうだ。使用感もインスタグラムとあまり違いはないように感じるし、なぜスレッズなのかが分からない。
「これでなければいけない」理由がないというのは、メタが力を入れてきたメタバースにも当てはまる。値上げしてさらに高価になったVRヘッドセット(4万7300円から)を装着して使用する必要があり、例えばリモート会議を行うにもわざわざアバターを作って、重いヘッドセットを使う必要がある。
そもそも日常的に使うようなものではなく、米ITスタートアップの関係者が以前私に「これを普及させるのは難しい」と述べていたくらいだ。
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