「上司より先に帰るな」「飲み会にも必ず出席」――会社にはびこる「謎ルール」はパワハラか?(1/2 ページ)
「誰よりも早く出社して掃除」「飲み会に必ず出席」「上司より先に帰るな」――。会社にはびこる「謎ルール」はパワハラ?
「誰よりも早く出社して掃除」「入社3年間は勤務時間外の飲み会にも必ず出席」「上司より先に帰るな」「昼休憩は上司より遅く出て、上司より早く戻ってくること」――。
これらは、私が実際に聞いたことがある会社の「謎ルール」です。一見共通項はなさそうですが「基本全員同じ場所にいること」が前提のルールになっています。毎日同じ場所で始業終業を迎え、周囲の状況や雰囲気をお互いに感じあえる環境があってこそのルールです。アフターコロナの今、かつての当たり前だったルールに「これはハラスメントでは?」と違和感を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アフターコロナでリアルコミュニケーションの価値を再認識しオフィスを増床する企業もあれば、コロナ禍で習得した技術を生かし新しいつながり方でワーケーションに力を入れる企業もあり、選択はさまざまです。どちらに舵を切ったとしても、コミュニケーションの価値を重く捉えていることは変わりないでしょう。
しかし、コミュニケーションは業務のまわりだけではありません。年齢も性別も価値観も全く違う人が1日の3分の1ぐらいを共にするところ……それが職場です。今の働き方に合わせた職場のコミュニケーションはどんなものなのでしょうか。
働く環境が変わった今「意識」をアップデートせよ
パワーハラスメント(以下、パワハラ)とは、職場において行われる以下の要素を全て満たすものと定義されています。
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えている
- 労働者の就業環境が害される
ここで言われる「職場」とは、勤務時間外の「懇親の場」や取引先との打ち合わせなど、職務との関係性や参加の強制具合にもよりますが、実質職務の延長と考えられるものは「職場」に該当します。
パワハラの定義から考えると、例えば「誰よりも早くきて掃除しろ」と言われた際、上司部下の関係性、明らかに業務上必要でない指示、その結果精神的に参ってしまった状況を考えるとパワハラの定義に合致します。断れない飲み会も意味不明な終業時間も同様です。
パワハラの定義はコロナ前後で変わってはいません。変わったのは環境です。
以前は「おかしいな」とは思うものの、流れに飲まれてしまった部分があったかもしれません。それがリモートワーク下では、いつ誰が出社して、いつ休憩に行っているかなどを把握しづらくなりました。加えて、会社近くの居酒屋に全員集合といったことも実際、難しくなったのです。
すでにあった職場風土や、人との関わり方の当たり前が変化していきました。その変化を体感し、出社もリモートも混在している今、意識のアップデートが必要なのです。
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