コラム
ビッグモーターの「降格人事」 もし裁判に発展したら、結果はどうなる?:過去の判例から考える(3/3 ページ)
ビッグモーターの保険金不正請求問題によって、工場長がフロントへの降格処分を受けていることが明らかになりました。仮に彼らが降格処分の妥当性について裁判に踏み切った場合、どのような処分が下されるのでしょうか? 社会保険労務士の筆者が過去の事例をもとに考えてみました。
ビッグモーターの降格処分、もし裁判になったら?
ビッグモーター社の降格処分は調査報告書によると、就業規則に則って行われていなかったため、裁判で争われた場合には無効と判断される可能性が高いと考えられます。無効となった場合、降格処分に伴い大幅に減額した賃金の差額を補償する必要がありますから、降格処分を受けた労働者側が訴訟を起こした場合は、かなり厳しい結果になるのではないかと推測できます。
また今回のケースから恐怖による組織管理は、一時的に業績を上げる効果があるものの、従業員は組織内における保身しか考えなくなり、顧客志向や社会的倫理観が棄損されることが明確になりました。
先行きが不透明で、将来の予測が困難なこれからのVUCA時代においては、従業員が現場で顧客のニーズをつかみながらサービスや商品を見直していくことが利益増大のためには不可欠です。恐怖で委縮した状態はネガティブに作用するでしょう。この事例から従業員や組織の力をどのように引き出すべきかを今一度、検討しましょう。
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