台風でも出社……テレワークできない企業が抱える3大リスク:働き方の見取り図(2/4 ページ)
コロナ禍を経て一度は根付いたテレワークだが、出社回帰が急速に進んでいる。ワークスタイル研究家の川上敬太郎氏は、テレワーク環境を整備していない企業が陥る3つのリスクを指摘する。
あなたの会社が当てはまるのは? テレワーク実施状況別6ゾーン
テレワークの実施状況は、環境の整備度合いや担当する仕事内容などによって職場、職種、人ごとに異なります。また、出社回帰するかどうかの判断には、テレワーク時と出社時の生産性の差が大きな影響を与えます。
以下は、縦軸を「テレワークの環境」、横軸を「テレワークの生産性」として6つのゾーンに分け、緊急事態宣言の解除後、テレワークを継続するか出社回帰するかを生産性の観点から記した表です。
「テレワークの環境」が整っていて「テレワークの生産性」が出社よりも高い【Aゾーン】の仕事に就いている人は、宣言が解除されたとしてもテレワークを継続することになります。
また、環境が整い生産性が出社と同等の【Bゾーン】の人は、テレワークを継続してもしなくても、どちらでも問題ありません。
しかし、環境が整っているにもかかわらず、生産性が出社よりも低い【Cゾーン】の人については、宣言が解除されれば早々に出社回帰した方が望ましいことになります。
一方で環境さえ整えばテレワークの生産性が出社より高い【Dゾーン】、生産性が出社と同等の【Eゾーン】の人も、環境が整っていない以上、出社回帰せざるを得ません。環境が整っていたとしても、テレワークの生産性が出社よりも低い【Fゾーン】の人は、当然ながら出社回帰です。
以上から、宣言が発出されて一時はA〜F全てのゾーンに位置する人がテレワークを実施したとしても、宣言が解除された後にテレワークを継続する可能性があるのはA・Bのみで、C〜Fの人は出社回帰することになります。
また、テレワークが合うかどうかは個人差があるほか、企画職はAゾーンで営業職はCゾーン――など、職種によって該当するゾーンが異なることもあり得ます。このようにテレワーク適性の個人差や、職種による生産性のバラツキを望ましくないと判断した職場は、全社員一律に出社回帰を決断することもありそうです。
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