「アーマード・コア」10年ぶり新作が爆売れ “マニア向け”ゲームだったのに、なぜ?:エンタメ×ビジネスを科学する(2/3 ページ)
フロムソフトウェアの「アーマード・コア」新作が好調だ。発売前からSNSで大いに話題となり、発売後初動の盛り上がりもすさまじい。なぜ、ここまでの盛り上がりを見せているのか。
究極の「プロダクトアウト」
上述したSNSでの盛り上がりはあくまで表面的な要素であり、最後の詰めの要素である。いくら表面が整っていてもその中身に対する信頼性がなければユーザーは乗ってこない。本質的には、開発元であるフロム・ソフトウェア自体のネームバリューが国内はもちろん、グローバルで劇的に向上したことは無視できない。
09年発売の『Demon's Souls』で150万本以上の成果を残して以降、『DARK SOULS』シリーズ(シリーズ計売上本数1400万本以上、以下同)、『Bloodborne』(200万本以上)、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』(500万本以上)、そして『ELDEN RING』(2000万本以上)と、文字通り桁違いの実績を残している。いずれも8割前後が海外での売り上げであり、それは冒頭で紹介した今作におけるSteam売り上げランキング1位にもつながっている。
昨今のゲーム業界ではさまざまな要因で開発費が高騰しており、それ故失敗が許されなくなってきている。ファミコン時代では数百万円程度だったソフト開発費も、今や数億円、大作ソフトならば数十億円から100億円以上要する時代になった。
結果、メーカーは失敗のリスクを避けるためよりユーザーが参加しやすい平易なゲームにする、シリーズものは最小限の追加要素に留める、売れた他社ゲームの要素を活用する、などのケースが増え、ユーザー目線での差別化要素が乏しくなりつつある。
こうした環境下において、フロム・ソフトウェアは各所で「作りたいものを作る」「価値のあるものを作る」とプロダクトアウト志向を公言し、一貫して独自性の強いゲームを世に出し続けてきた。
上述したソウル系といわれるゲームも、高難度のアクションRPGという“かつては”大きな売り上げが見込めないジャンルであったが、今はどうか。
同社のプロダクトアウト志向、そして確かな3Dグラフィック・CG技術、ストーリーや世界観・戦略性、そして何より難度の高さ(とそれを超えた時の達成感)はある種のブランドを醸成し、上述したような大成功を収めている。
そのフロム・ソフトウェアがアーマード・コアの根本の面白さを見つめ直し、新たに世に出したのが今作『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』である。
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