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銀座→郊外の移転で大成功 92歳の「最強の鉄人」道場六三郎氏はいまあの話題は今(2/4 ページ)

「最強の鉄人」道場六三郎氏が、郊外で新たなチャレンジを続けている。銀座から郊外の庶民派スーパー横に移転した「懐食みちば」、さらには焼肉店「肉匠みちば」をオープンし、連日客足が絶えない。

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 道場ファンが多いと推察される郊外を狙った戦略は大成功だった。90代を迎えた道場氏の新しい挑戦を応援しようと、特にランチタイムは、今も2カ月先まで予約で埋め尽くされるほどの超人気店となった。ディナータイムも、オープン時は予約なしで入れないほどの盛況を見せていた(今は若干の空きが出る日もあるそうだ)。最強鉄人・道場氏の根強い人気、健在といったところか。


懐食みちば外観(撮影:筆者)

 新生「懐食みちば」に予約が殺到している理由の一つは、「ろくさん亭」と比べて半額程度の価格帯にあるだろう。もっと身近で・もっと気軽に、道場氏が提供する至高の味を楽しんでもらおうといった趣旨の店といえる。プリフィックススタイル1本のコースとすることで、食材ロスを抑えるだけでなく、職人の作業性も高めた。また、先述したようにスーパーがある一角で営業していることで賃料も抑えられ、リーズナブルな価格が実現している。


懐食みちば・店内の様子(出所:eatopiaホールディングスのプレスリリース)

 伝統の「ダシ」を基本に、新しい試みとして「石窯」を使った焼きにもチャレンジ。道場氏らしい創作性が発揮されている。現在提供している「夏の献立」では、昼が3960円(10品)、夜は1万890円(15品)という2時間のプリフィックスコースを用意。旬の食材を生かした驚きと楽しさのある料理を提供している。


店内には石窯も(同前)

 ランチのコース内容は「まずは一献」として「命の出汁」。先附に「滝川豆腐」、前菜3種には「夏野菜色々・土佐酢ジュレ掛け」「本日の笹巻き寿し」「クリームチーズ黄金焼き」。お膳盛りは「焼:お宝とまと姿焼き・べっこう飴掛け」「造:本日のおすすめサラダ仕立」「揚:鮮魚唐揚げすどり飴掛け」の3種類。「お食事」として「季節の釜めし」を提供した後、最後に水菓子「本日のデザート」を出している。


夏のランチコース(同前)

 ディナーのコース内容は、先附に「命の出汁」。前菜5種は「冷し茶碗蒸し」「宿借もろこしつくね」「黄金チーズ」「鮮魚石焼き」「鮑酒蒸し」。御椀は「鱧真薯椀」だ。刺身に「鮮魚三種盛り」、焼物は「お宝とまと姿焼き」。煮物には「若鮎そうめん」、強肴が「黒毛和牛もも窯焼き」。お食事はお好みで「糠鯖茶漬」「もり蕎麦」「鰻とろ悟飯」から1品を選択する。最後は水菓子に「白桃密煮」を提供するコースだ(仕入状況によりメニューが変わることがある)。


夏のディナーコース(同前)

若手が活躍する場に

 「懐食みちば」で厨房に立つのは、主に和食の将来を担う若手の料理人たち。「伝統の技を継承するべく頑張る若い人たちにチャンスを与えたい」という、道場氏の思いが込められた店といえるだろう。常連にとっては、道場氏の弟子たちが成長する過程を見届けられる楽しみもある。若手を料理長としてまとめるのが、道場氏に師事して20年、経験豊富な「ろくさん亭」元料理長でもある一ノ谷浩司氏だ。

 銀座の「ろくさん亭」は席数が70もある、かなりの大箱であるのに対し「懐食みちば」はカウンター主体で20席。店員と顧客との距離が近いのも魅力だ。道場事務所によれば、道場氏も時折ふらりと訪れるとのことで、運がよければ会えることもあるという。

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