試作段階の日本酒を販売して、どうなった? 「月桂冠」に反響を聞いた:経済の「雑学」(2/4 ページ)
日本酒の老舗ブランドとして知られる月桂冠が、新プロジェクト「Gekkeikan Studio(ゲッケイカンスタジオ)」をスタート。どんなプロジェクトなのかというと……。
若い研究員の感性を生かした、新しい日本酒
通常、月桂冠の商品は全国の販売店に流通させる前提で開発している。異なる陳列環境でも品質を維持できるよう保存性などを高める必要があり、発売までに短くても2〜3年を要する。品質をクリアしてもすでに時代遅れになってしまい、お蔵入りになるものもある。
一方、ゲッケイカンスタジオは販売チャネルを月桂冠大倉記念館の売店とオンラインに限定することで、開発期間を半年ほどに短縮。時代にマッチした日本酒を試作段階で商品化し、顧客のフィードバックを得て進化させることをコンセプトとしている。
これまでに販売した4商品はいずれもオシャレな外観で、フルーツを思わせる香りや味わいが特徴だ。
メロンのような香りや果実味が特徴の「Gekkeikan Studio no.1」(3500円)(左)、桃やプラムのような香りと、とろりとした濃密な舌ざわりが特徴の「Gekkeikan Studio no.2」(3500円)
パイナップルのような甘い香りと酸味のハーモニーが特徴の「Gekkeikan Studio no.3」(3500円)(左)、メロンのような風味と果肉味を強化した「no.1」の改良版「Gekkeikan Studio no.1.1」(3300円)
「ゲッケイカンスタジオの商品は、月桂冠総合研究所で生まれた画期的なアイデアのうち、大量生産・販売に向かないものを拾い上げ、ブラッシュアップして商品化しています。近年フルーティーな日本酒の需要が高まっている傾向があり、果実味を高める研究が進んでいたことから、現在のラインアップとなっています」
味わいを調整する開発工程は従来商品と大きく変わらないが、「年間1〜2本の新商品を発売する」と出口を決めたことで研究員のモチベーションが上がり、開発スピードが早まる傾向があるようだ。
「若いメンバーの自由な発想や感性を存分に生かしてほしいと考え、新プロジェクトのチームは20〜30代の研究員を中心に構成しています。ゲッケイカンスタジオのアイデア自体も、20代の研究員から生まれたものでした」
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