営業業務の効率化に「AI」は必須ではない より重要な「ある条件」を満たすデータ(1/3 ページ)
AIを営業活動に取り入れ、効率的に活用するためには、AIに学習させるデータの準備が不可欠です。そのデータの質はとても重要で、実は「とある条件」を満たすデータであればAIを活用せずとも、営業活動を効率化できるのです。
AIが一部の営業業務を担い、自動化することが当たり前の時代になりつつあります。こうした時代に自社の競争力を上げるためには、AIの学習に活用可能なデータを用意することが何よりも重要です。
前回は「なぜ、日本企業はAIとデータを正しく使えないのか」というタイトルで、AIが学習するデータをつくるために、営業だけではなく組織を横断したデータ統合を設計することが必須であるとお伝えしました。
しかし、データを統合できたとしても、活用し常に改善できる体制をつくらなければ今までの苦労が水の泡になってしまいます。そこで今回は「AI活用のためのデータ蓄積・運用の4ステップ」についてグーグルジャパンで営業統括部長、freeeで営業統括役員を歴任し現在はMagic Momentの代表を務める村尾祐弥が解説します。
「ある条件」を満たす営業データは、AIがなくても業務効率を上げる
AIは営業業務の効率化をサポートする役割を担っているわけですが、簡潔に言えば、営業プロセスのなかで、自然とデータが収集される仕組みが作られていれば、AIがなくても業務効率化につながると考えています。
この枠組みさえ整えば、AIを導入する手前でも、営業個人に割り振られていた商談データ入力や経理部門の計算・請求、法務部門の契約書作成といった業務の効率化など、副次的な効果も見込めます。もちろん、AIが学習するのに適したデータにもなっているので、業務効率や営業力を高めることにもつながります。
さっそく、AIが学習するデータを整備するための具体的なステップを解説していきます。
AI活用のためのデータ蓄積・活用に向けた4ステップ
AIが学習できるデータの蓄積・活用について説明する前に、そもそもなぜAIドリブンなデータ設計にする必要があるかを補足します。
営業活動とは「顧客と接点を持ち、信頼関係を作り、モノやサービスを購入いただいた上で継続的に利用を促すという連続的な体験を提供すること」です。この営業のプロセスを数値的に表現すると、部門間をまたぐ一連のデータとなります。
この「営業プロセスを示すデータ」をAIに学習させるためには、データの「構造化」が必要です。構造化とは、表計算ソフトの「行」と「列」のように、あらかじめ定められた構造に整形されたデータを指します。検索や集計、比較などが行いやすく、分析に適したデータ群です。
営業の一連の流れ(プロセス)を表現する、構造化されたデータを蓄積する仕組みが整えば、仮にAIを導入しなくても、人力による分析でAIと同様の示唆を得て、業務判断に活用可能です。「データの構造化」はAIの活用を見込まない場合でも、あらゆる企業に利点があります。
このようなメリットを享受できる、AIが学習可能な「構造化されたデータ」を蓄積する仕組みを構築するためには、大きく4つのステップがあります。次はその各ステップについて、順序立てて説明していきます。
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