全く違う、若い世代のための「センチュリーSUV」 開発陣が「広さ」を突き詰めたワケ(2/2 ページ)
トヨタ自動車が世界初披露した、高級車「センチュリー」のSUVモデル。開発が進められた背景には、前社長・豊田章男氏のある一言と、それを受けた開発陣の試行錯誤があった。
センチュリー、グローバル展開を開始
こうしてより広くなった室内空間を最大限に生かすため、センチュリー初となるフルリクライニング可能なリアシートを搭載。これまでは前の座席に付属していたオットマンを、自分で足を持ち上げてセットしなければならなかったが、フルリクライニングになったことで座るだけですぐにリラックスした状態になれる。
室内照明はマルチカラーから色や明るさを自分好みに選択可能。全部で18機搭載したスピーカーは、場所によって異なるメーカーを使い分けている。「まるで目の前で演奏しているかのようなリアルなサウンドを提供します」(開発担当者)。ラゲージルームセパレーターの室内側には「遮音機能付クリア合わせガラス」を採用し、荷室とは切り離されたプライベート空間と音響を邪魔しない静粛性を実現した。
また、最大75度まで開くリヤドアや、掃き出しフロアにより、乗り降りのしやすさも向上した。「センチュリーに乗る場面では、乗降時の所作も注目されます。自然で美しい乗降時の所作をサポートするために、オート電動格納式ステップやアシストグリップをセンターピラーに取り付けるなどしています」(開発担当者)
外観は“威風凛然”をテーマにした、水平・垂直を基調としたデザイン。よく見るとルーフがリヤにかけてなだらかにあがっている。これは後席の人の頭の位置に、ルーフの最も高い場所を持ってくることによって生まれた曲線であり、後席に乗る人がより過ごしやすくするための工夫だ。一方「几帳面」と呼ばれるボディーのフロントからリヤまで、真っすぐに伸びるプレスラインは、ルーフと反する後ろ下がりにすることでバランスをとっている。
センチュリーの象徴でもある「鳳凰エンブレム」は、職人が顕微鏡を見ながら手作業で作る。鳳凰の尾と羽の部分は磨き、胴体部分は板金加工を施すこだわりぶりだ。実際に作業を行う職人によると、1つの鳳凰エンブレムを仕上げるのに1.5カ月かかるという。
新しいSUVモデルと現行のセダン型のモデルも含めて、センチュリーはグローバル展開を開始する。現在、ロールスロイスやフェラーリなど海外の高級車メーカーもSUVを続々と発売中だ。日本を代表するショーファーカー・センチュリーは、海外でどのような評価を受けるのか。
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