2000万円超えの高級車「センチュリー」 なぜSUV化するのか:鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(1/3 ページ)
現在、日本で唯一のショーファーカー(専用運転手付きのクルマ)であるトヨタ「センチュリー」。年内にもSUVモデルの登場が予告され、注目を集めています。そこで、センチュリーがどれほど特別な存在なのかを解説します。
現在、日本で唯一のショーファーカー(専用運転手付きのクルマ)が、トヨタ「センチュリー」です。皇族をはじめ各界のVIPの移動に使われる、日本を代表する高級車です。
そんなセンチュリーに驚きのニュースが飛び出しました。6月21日の新型「アルファード/ヴェルファイア」の発表会において、SUVのようなシルエットとともに、センチュリーに新たなエディションが年内にも加わることが予告されたのです。
近年、ロールスロイス「カリナン」、ベントレー「ベンテイガ」など長い歴史と高い格式を備えた超プレミアム・ブランドが相次いでSUVをリリースするというトレンドに、センチュリーも乗ったということでしょう。世界のトップ・オブ・トップであるハイブランドと同じように、日本にもセンチュリーのSUVが生まれる。そんなモデルが誕生すれば、この冬の大きな話題となるのは間違いありません。
そこで今回は、センチュリーがどれほど特別な存在なのかを解説します。
トヨタの最高級車種
まず、センチュリーの価格は2008万円で、トヨタで最も高額なクルマです。新型「アルファード/ヴェルファイア」も高額なモデルですが、最高グレードでも892万円にすぎません。現行「クラウン(クロスオーバー)」の最高額が640万円、次世代環境車である燃料電池車「MIRAI」でも860万円。レクサスの最上級モデル「LS」であっても最上級で1796万円で、「ランドクルーザー」のレクサス版「LX」が最高1800万円です。こうしてみると、価格面でもセンチュリーが最上位に君臨していることが分かります。
また、日本の皇族が利用する「御料車」もセンチュリーがベースとなっている「センチュリーロイヤル」です。昭和の時代は日産「プリンスロイヤル」が御料車として使われていましたが、2000年代以降、センチュリーロイヤルがそれに代わるようになりました。
長い歴史と高い格式を備えた超高級車であるセンチュリー。そんなクルマですから、その時代の最先端の技術が採用されています。1997年に発売した先代モデルは日本初のV型12気筒エンジンを搭載していましたし、2018年登場の現行モデルはトヨタお得意のハイブリッドを採用。その時代の最高の走りを実現しています。
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