W杯の快挙で注目急上昇 バスケは「国民的スポーツ興行」になるか?:エンタメ×ビジネスを科学する(1/3 ページ)
FIBAバスケットボールワールドカップ2023の日本代表の快挙が話題だ。48年ぶりの自力出場となる、パリ五輪への出場権を獲得した。国内ではBリーグも盛り上がりつつあるなか、バスケは野球やサッカーと並ぶ「国民的スポーツ興行」になるか。
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8月25日に始まったFIBAバスケットボールワールドカップ2023は、いよいよクライマックスに向かっている。
日本代表は1次リーグの戦績が1勝2敗に終わり、2次リーグへ進めなかった。しかしその後の順位決定戦で2連勝し、アジア最上位に与えられるパリ2024オリンピックへの出場権を獲得した。開催国枠として出場した前回の東京オリンピックを除けば、1976年のモントリオール大会以来、実に48年ぶりとなる自力での出場権獲得だ。
興行としての日本のバスケットボールはこれまで、野球やサッカーなどに後れを取っていた。今回の快挙でSNSでは「これからはバスケの時代」「バスケが日本でもメジャースポーツに」といった意見が飛び交っている。
実際のところはどうだろうか? 消費者のスポーツ観戦の形態変化を踏まえると、バスケットボールは「国民的スポーツ」になるポテンシャルを秘めているといえる。
バスケW杯、視聴率8%→20%超に 「国民的スポーツ興行」への可能性
スポーツをビジネス目線で論じるときは「見るスポーツ」と「やるスポーツ」の大きく2つの論点に分けられる。本稿では興行として見るスポーツに着目し、バスケットボールの未来を考えてみたい。
今回のバスケW杯の日本戦において、視聴率はうなぎ登りに上がっている。初戦のドイツ戦、二戦目のフィンランド戦はいずれも視聴率8%台にとどまっていた。だが、このフィンランド戦での勝利によって風向きが変わる。
16年のリオ五輪世界最終予選から「主要国際大会10連敗」だった日本代表。フィンランド戦での勝利は、不名誉な連敗記録を止めるとともに、国際大会での約7年ぶりの勝利という歴史的なものとなった。その後のオーストラリア戦、順位決定リーグのベネズエラ戦の視聴率は二桁へ伸びた。そして、順位決定リーグ最終戦の日本対カーボベルデでは世帯視聴率20%以上(ビデオリサーチ調べ)を記録するほど世間の注目を浴びたのだ。
視聴率同様に、SNSでも話題沸騰となっている。特に、人気漫画『スラムダンク』の作者・井上雄彦氏が31年前につづった文章、(「次は日本チームの五輪出場が見たい。『スラムダンクを読んでバスケを始めた。』という子供たちが、大きくなってやってくれたら…………オレは泣くぞ」)について述べたX(旧:Twitter)の投稿は、数百万から1千万インプレッションに到達するほど注目されている。
まず今回のワールドカップの成果をもってすぐにバスケットボールが野球やサッカーと同等の人気コンテンツになれるか、というと否である。だが、10年後、20年後に野球やサッカーに比肩する人気コンテンツとなりうる土壌は整いつつあり、今回の成果で大きな機会を得た、といえよう。順を追って解説する。
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