「あれ、なに?」と思わず声が出る“乗り物”の正体 沖縄の街でゆるりゆるり:経済の「雑学」(3/3 ページ)
沖縄本島の中部に位置する北谷町で、ちょっとユニークな乗り物が走行している。夕方から夜にかけて映像を映し出しながら走っている乗り物の正体は……。
マネタイズの問題
美浜エリアでこのサービスを始めたきっかけは、交通事情が大きく影響している。那覇空港を降りても、観光客が多いこともあってレンタカーを借りるのが難しくなっている。また予約をしていても受付に時間がかかることも。
こうした事情を受けて、空港から北谷行きのシャトルバスを用意したものの、観光客は現地での移動手段に困ってしまう。そこで白羽の矢が立ったのが、ヤマハ発動機のゴルフカートだったというわけだ。
北谷町でゴルフカートをベースにした乗り物が走り始めたのは、2017年のこと。SC-1が動き始めたのは、22年のこと。そこそこ時間がたっているわけだが、いまだに大きな宿題を残したままである。それはマネタイズ。
利用客は増えているものの、料金だけできちんとした利益を確保することは難しいようで。例えば、SC-1の場合、美浜エリアの決められたルートを30分ほど走って、料金は大人1500円、子ども500円。シャトルカートの場合、大人500円、子ども250円である。
事業をうまく軌道に乗せるには、料金を上げることもひとつの手かもしれないが、移動距離や時間などを考えると、大幅な値上げは難しい。となると、違った手を打たなければいけない。
この事業のキモは、観光客を送客していること。商業施設やホテルなどにとってはメリットがあるので、事業担当者は「そうした会社となにか一緒にできることはないか」と模索している。また「カートに広告を掲載できるので、そうした収益も増やすことができないか」といったことも視野に入れているようだ。
もし、SC-1のフロントガラスで未来が見えるとしたら、どんな姿が映し出されるのか。たくさんの観光客がやって来て、ゆっくりゆっくり走る乗り物がにぎわっている――。こうした映像であれば、近い将来、大きな宿題を解決しているに違いない。
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