「あれ、なに?」と思わず声が出る“乗り物”の正体 沖縄の街でゆるりゆるり:経済の「雑学」(2/3 ページ)
沖縄本島の中部に位置する北谷町で、ちょっとユニークな乗り物が走行している。夕方から夜にかけて映像を映し出しながら走っている乗り物の正体は……。
エリア外を走る人は全体の1%以下
ところで、なぜ美浜エリアでこのような乗り物が走行しているのか。これは「グリーンスローモビリティ」(通称:グリスロ)の一環として、取り組んでいる事業である。
「ん? グリスロってなに?」と思われたかもしれないが、グリスロとは時速20キロ未満で公道を走る電気自動車のこと。国土交通省が2018年に提案していて、ゴルフカートなどを改良した乗り物を、高齢者が移動手段などで利用しているケースが多い。
「そういえば、ウチの実家の近くで見たことがあるなあ」「旅行先で見たよ。10人ほどが乗れるバスタイプもあるよね」といった声も出てきそうだが、その通りである。走行しているエリアを見ると、全国でじわじわ増えているのだ。
ヤマハ発動機は「グリスロ」という言葉が広まる前に、同社のゴルフカートをベースに公道を走れる“乗り物”を開発し、導入を進めてきた。14年に石川県輪島市の商工会議所から要望を受け、ゴルフカートを改良して、軽自動車のナンバーを取得。輪島市内を走行したところ「ウチの町でも」といった声が相次ぎ、これまで50カ所以上で協力している。
話を美浜エリアに戻す。冒頭でSC-1の話をしたが、ヤマハ発動機は19年からこのエリアで、グリスロの運行に関わっている(運営主体はチャタモビ社)。バスのように乗り場があって、決められたルートをグルグル回るパターンもあれば、エリア内を自由に走行できるパターンもある。「ん? 自由に運転できれば、中には悪ふざけをする人も出てくるのでは?」などと思われたかもしれないが、エリア外を走る人は全体の1%以下だという。
なぜ、それほど少ないのか。理由は2つあって、1つは仕組みで解決しているから。エリアを外れそうになると、車内でアナウンスが流れるので、ドライバーは「この交差点をわたってはいけないのね」などと受け止め、決められた範囲内で走行する人が多いようだ。
もう1つは、エリアの特性があるから。北谷町の美浜エリアを訪れたことがある人は想像できるだろうが、観光客の多くは海のほうに向かう。内陸側は商業施設などが少ないこともあって、客の数は少ない。こうした地理上の特性によって、エリア外に行く人はほとんどいないそうだ。
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