「被害者はお客さま」「不正見抜けず道義的責任」──損保ジャパンが“ビッグモーター問題”で示した見解と今後:広がる疑惑の目(2/3 ページ)
ビッグモーターによる不正請求問題で、損保ジャパンが「被害者はお客さま」などの見解を示した。当初、報道陣へのコメントがSNSで「被害者ヅラ」などと批判を浴びたが、会見では自社の非を認め、契約者などに謝罪した。
ネクステージでも不正発覚 広がる疑惑の目
BM以外との取引にも注目が集まっている。文春オンラインは9月6日、中古車販売業界2位のネクステージでも、BM同様の不正請求の疑いがあると報道。記事ではタイヤを故意にパンクさせたりする手法が横行していたと現役社員などが告発していた。
これを受け、同社はタイヤ交換での不正や、自動車の販売価格の値引きを使った保険勧誘、保険契約数の水増しなどの不正があったと公表。不正疑惑報道以降、同社の株価は低迷した。
経営責任を取り、同月11日には浜脇浩次社長が辞任。浜脇氏はBM出身で16年に同社副社長、22年に社長に就任していた。後任として、創業者の広田靖治会長が社長を兼務する。
損保ジャパンはネクステージとも関係があったことが分かっている。東洋経済オンラインは9月6日付の記事で、ネクステージ側の保険取引シェア最多は損保ジャパンで、同社社員が出向していると報じている。
これに加え、中古車販売大手グッドスピードも事故車の塗装作業において、保険金の不正請求があったと公表している。
中古車販売業界で不正が相次いでいることを受け、社外弁護士で構成する損保ジャパンの調査委もBM以外との取引関係、社員の出向状況も調査対象とし、不正がなかったか調査している。現時点では報告書ができていないとして、損保ジャパンは「現在調査中」と述べるにとどめている。今後も被害が膨らむ可能性がある。
同社に関しては、損害保険ジャパンが外部弁護士の厳格な調査は「不要」と、競合の損害保険各社に働きかけていたと、共同通信が報道(8月3日付)している。損保ジャパンは「BMの自主調査のスピードを優先させるために、弁護士の同席を必須としなかった。会社として働きかけたことではない」と報道内容を明確に否定している。
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