増える「交通の空白地帯」どう解決する? JR津軽線の“断線”救ったベンチャーに聞く:「地元ルール」はDXできるか(2/2 ページ)
青森県、秋田県を集中的に襲った豪雨災害の影響で、青森県津軽半島を走るJR津軽線の一部区間が断線する被害が起きた。そんな状況を救うべく貢献した企業の一つが、電脳交通というスタートアップだ。地方のタクシー会社の厳しい現実やDXの可能性について、同社取締役COOの北島昇氏に聞く。
増える「交通の空白地帯」どう埋める?
地方の交通インフラには人口減少に伴う採算性の課題がついて回り、バスや鉄道などの地域公共交通機関が次々に閉業に追い込まれている。かといって採算を合わせようとすると利用料金が高くなってしまう。この板ばさみの状況をどう打開するか。
北島氏は「地域交通においてコスト効率を高める余地はまだ残っています」と指摘する。
「タクシー事業は、時間帯によって需要の波が大きい特徴があります。需要が少なくなる日中に、医療施設や介護施設の送迎ニーズにうまく応えれば、事業継続に必要な需要を確保できます」
一方で需要があったとしても、地場のタクシー会社は持っているタクシー台数が少ないため、集中する需要に応えられないこともある。電脳交通の配車システムはタクシー会社が共同で利用することで連携し、大手タクシー会社に負けない安定したサービス提供ができるようになるという。
「自治体と連携しつつも、なるべく補助金に頼らずに採算がとれる地域交通モデルを構築することが長期的な目標です」
地方の交通問題に、デジタルの力で挑み続ける電脳交通。しかし、北島氏は「地域交通を担う主体は、決して私たちではありません」と強調する。
「地域交通の課題を解決するソリューションを考え、構築するのは、あくまで地元自治体や交通事業者の方々であり、私たちはそれをサポートする立場にすぎません。強い意思を持ってその課題にチャレンジする地元の方々がいて、初めて私たちのシステムがそのチャレンジに応えることができます」
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