何度注意しても日中サボる社員 残業代をカットしてもいい?:Q&A 社労士に聞く、現場のギモン(1/2 ページ)
業務中に明らかにサボっている社員がいます。業務で使用しているチャットもオンラインになっておらず、連絡しても何の返答もない状態が1〜2時間続くことがよくあります。注意をしても改善しないのですが、こうした場合、何らかのペナルティを科すことはできるのでしょうか?
連載:Q&A 社労士に聞く、現場のギモン
働き方に対する現場の疑問を、社労士がQ&A形式で回答します。
Q: 業務中に明らかにサボっている社員がいます。
業務で使用しているチャットもオンラインになっておらず、連絡しても何の返答もない状態が1〜2時間続くことがよくあります。注意をしても改善しないのですが、こうした場合、何らかのペナルティを科すことはできるのでしょうか?
この社員は、日中仕事をサボっていることがあるにもかかわらず月に平均25時間以上と社内平均より多く残業しているので、働いていない時間分の残業代のカットなどができないかと考えています。
「サボった時間の残業代カット」はできるのか?
A: サボった時間分としての賃金カットは、残業代含めできないでしょう。
本件ご相談内容について、「そのサボった時間分は労働していないのだから賃金カットをしたい」という気持ちはよく理解できます。しかし、結論から申し上げると、サボった時間分としての賃金カットは残業代含めできないと思います。
なぜなら、労働基準法で定める労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」を指します。たとえ業務に専念しておらずサボっていたとしても、その時間も使用者の指揮命令下にある訳ですから労働時間とみなされ、使用者には賃金の支払義務が生じます。
逆に、使用者の指揮命令下にある、業務命令ができる時間だからこそ「職務に専念していない」「サボっている」という概念も生まれてくるのではないでしょうか。
従って、サボっている時間だからといって直ちにノーワーク・ノーペイの原則に基づき、賃金カット――ということはできないと考えられるのです。
では、どのような対応ならできるのか?
サボっていることについて、その社員に何のおとがめもなしという対応しかできない訳ではもちろんありません。
サボり行為、つまり社員の問題行動は、他の社員の士気も下げることにもつながります。会社としては厳正に対処すべきでしょう。
社員には、当然に「職務専念義務」があり、サボっているということは「職務専念義務違反」の状況であるわけですから、それについては口頭注意から始まり、指導やその他就業規則に定められている「懲戒処分」を実施するとよいでしょう。
その際、サボった時間分の賃金カットはできませんが、懲戒処分の中に「減給」という処分が定められているならば、適正な手順を踏んで適正な方法で「懲戒処分としての減給」を実施することも有り得ます。
具体的には、これまで注意されても改善されなかったということですから、口頭注意だけでなく、就業規則に定められている懲戒処分について、段階的に重い処分を実施していくという方法が考えられます。
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