大規模ゲーセン「池ギー」2年ぶり復活 「クレーンゲーム269台」そろえた戦略:全4フロア、延べ947坪
9月20日、池袋サンシャイン60通り沿いに、大型アミューズメント施設「GiGO 総本店」がオープンした。オープニングセレモニーには長蛇の列が並んだ。運営会社社長は「“新宿の飛び出す猫”に負けない存在感目指す」と話した。
9月20日、池袋サンシャイン60通り沿いに、大型アミューズメント施設「GiGO 総本店」がオープンした。
開店を待ちわびる客が長蛇の列を作る中、正午にオープニングセレモニーを開催した。列の先頭に並んだ客は「朝4時前から並んで開店を待った」と話す。
延べ947坪、「クレーンゲーム269台」そろえた戦略
「GiGO」は、かつてSEGAが運営していたアミューズメント施設ブランドだ。現在はゲームセンター事業をGENDA(東京都港区)に譲渡している。
旗艦店だった「池袋GiGO」は施設の定期建物賃貸借契約の満了のため、2021年9月20日に閉店した。当日は緊急事態宣言下にもかかわらず、1000人規模の客が詰めかけ、別れを惜しんだ。
多くの利用者から支持を集めていたことを受け、GENDAの子会社、GENDA GiGO Entertainment(東京都港区)は池袋GIGOの閉店後間もなく、再出店に向けたプロジェクトを企画し、21〜22年の間に池袋エリアに3店舗を出店。そして池袋GIGO閉店からちょうど2年となる9月20日に、旗艦店となるGiGO 総本店をオープンした。
GIGO 総本店は地下1階から地上3階の4フロアで構成され、営業面積は947坪。ゲーム機の構成はクレーンゲーム269台、体感音楽ゲーム118台、ビデオ大型カードゲーム72台、プリントシール機18台などと大規模だ。
ゲームセンター業界はコロナ禍の影響で規模縮小が進むものの、「プライズ」(ゲームによる獲得できる専用景品)の売り上げ規模は14年から19年にかけて1.7倍に拡大している。こうした需要拡大や外国人観光客の客足増加を見据え「クレーンゲームの商品ラインアップには特に力を入れた」と、GENDA GiGO Entertainmentの二宮一浩社長は説明する。
同社がドミナント出店する秋葉原、池袋は日本発祥のゲーム・アニメファンの集まる「聖地」として海外でも有名であり、こうしたインバウンド需要を狙う姿勢だ。
地下1階はeスポーツ選手がスペックを監修した音楽ゲームが並ぶほか、2階は版権キャラクターとのコラボなどを行う「GiGOのたい焼き総本店」やエアーポップコーン専門店「HillValley」が出店。3階は地域最大規模のプリントシール機コーナーを設け、利用者が化粧などを直せるよう、専用のドレッサーを備えた。
建物の正面には大型のデジタルサイネージを6台設置し、それぞれが連動した映像を展開している。GENDA GiGO Entertainmentの二宮社長は「ビジュアルエンターテインメント」としてまちゆく人々を楽しませたいとしつつ、「“新宿の飛び出す猫”に負けないような、サンシャイン60通りの名所にしていきたい」と意気込んだ。
GiGO総本店を運営する株式会社GENDA GiGO Entertainmentは、20年にセガグループからGENDAへ譲渡されたセガエンタテインメントが前身で、22年に社名が現在のものとなっている。都市型からショッピングセンター型など国内に252店舗を出店し、ゲームセンターとしては業界第3位の規模を誇る。
親会社のGENDAは7月に東京証券取引所グロース市場へ上場しており、同社の申社長は「GENDAブランドの成長ドライバーになってほしい」と期待を話した。
関連記事
- メタバースの「残念な現実」 日本のアパレルが総崩れする前に直視すべきこと
2021年末ごろから急速に加熱したメタバースブーム。新しい消費の在り方として注目を集める一方で、本質を見極めないまま参入し、失敗する企業が後を絶たない。アパレル業界はメタバース市場とどう付き合うべきか。河合拓が「夢と現実」を指摘する。 - 「90秒後にアツアツの駅そば」 上野駅ホーム上で初の試み、狙いは?
JR上野駅のホーム上に、「完全セルフ式駅そば」が開業する。JR東日本クロスステーション フーズカンパニーの実証実験で、米国発のフードテックベンチャー「Yo-Kai Express」(ヨーカイエクスプレス)の自動調理販売機を用いている。駅のホーム上に開業した、その狙いは? - 日本のアパレルが30年間払わなかった「デジタル戦略コスト」の代償
「DX」という言葉に踊らされていないだろうか? テクノロジーの急速な進化はアパレル業界全体に不可逆な変化をもたらしている一方で、本質を欠いた戦略で失敗する企業は後を絶たない。アパレル業界における「PLM」もその一例だ。本連載では国内外の最新テック事例を“アパレル再生請負人”河合拓の目線で解き明かし、読者の「次の一手」のヒントを提供する。 - 米コカ・コーラ「何が起こるか試したい」 生成AIで商標資産を“民主化”する真意
米国テキサス発のあるスタートアップが注目されている。同社は「無料の水を提供する世界初の会社」をうたい、水を無料で消費者に提供し、さらに寄付まで行いながら収益を得ている。また米コカ・コーラでは、生成AI技術を使った広告制作を可能とするプラットフォームを開発した。その真意とは何か――。パロアルトインサイトCEOの石角友愛が、米国リテール業界で起きている先端事例をリポートする。 - セブン-イレブンが挑戦する「リテールメディア」 実証実験で見えはじめた“究極の強み”
小売業界で注目が高まりつつある「リテールメディア」。セブン‐イレブン・ジャパンは自社アプリを通じた広告配信に加え、22年末から店舗にデジタルサイネージを設置した広告配信の実証実験を進めている。ねらいと現状の取り組みについて、セブン‐イレブンジャパンのリテールメディア推進部 総括マネジャーの杉浦克樹氏と、協業パートナーのLMIグループ(東京都港区)の望田竜太副社長に聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.