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最低賃金1500円に上げれば解決? “そこじゃない感”が拭い切れないワケ:働き方の見取り図(2/4 ページ)
非正規雇用者が抱える課題は、最低賃金さえ上げれば解決するというものではない――。非正規雇用を形成している各雇用形態の課題とは、どのようなものがあるのか。
非正規雇用を一括りにできない理由
総務省の労働力調査によると、23年4〜6月平均で非正規雇用者が占める割合は36%で2090万人、正規雇用者は64%で3652万人です。
さらに、非正規雇用者全体を100%とすると、内訳はパートが48%、アルバイトが21%と、パートとアルバイトだけで約7割を占めています。続けて比率が高い順に、契約社員14%、派遣社員7%、嘱託5%です。グラフにすると以下のようになります。
一括りに非正規雇用者といっても、その内実は多種多様なのです。また、それぞれの雇用形態ごとに、年齢や性別などの属性が大きく異なっています。同じく労働力調査の23年4〜6月平均のデータをもとに、雇用形態ごとの年齢階級・配偶関係・性別を見ると以下のようになります。
まず、特徴的なのがパート層。87%が女性でかつ有配偶者が75%を占めています。そこから、主な属性がいわゆる主婦層であることが見えてきます。
また、アルバイトは半数近い49%が15〜24歳で、かつ未婚者が67%であることから、学生層が主な属性だと考えられます。さらに嘱託は、55〜64歳が46%、65歳以上が32%であることから、主な属性はシニア層です。
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