日本のマンガ・アニメは世界一? 「10年後も安泰」とは言えないワケ(2/4 ページ)
日本のソフトパワーの代表格であるマンガ・アニメ。韓国や中国をはじめ、従来の形式にとらわれないエンタメコンテンツが台頭する中、エンタメ分野で日本がこれから世界をリードするために必要な視点とは――。
IP収入の上位を独占する日本発コンテンツ
経団連が23年4月に発表した政府への提言書「Entertainment Contents ∞ 2023」の中では、コンテンツIP(知的財産)にひもづく累積収入のランキングが引用されています。
1位のポケモン、2位のハローキティ、6位のアンパンマン、8位スーパーマリオ、9位の少年ジャンプ、13位のガンダム、15位のドラゴンボール、17位の北斗の拳、20位のワンピース、23位の遊☆戯☆王――など、日本のコンテンツIPが数多くランクインしており、マンガ・アニメ発のIPが多いのが日本の特徴です。
コンテンツIP世界ランキング。日本のマンガ・アニメ発IPが上位を独占している(出所:TitleMax「The 25 Higest-Grossing Media Franchises of All Time」)
マンガやアニメは一度読んだり見たりして終わりではなく、その世界観やキャラクターの認知・好意を知財(IP)として活用し、さまざまなコンテンツや事業に展開されます。映画、グッズ、ゲーム、イベント、テーマパーク、企業とのコラボレーションなど、多種多様です。
エンタメビジネスは世のトレンドに影響を受けるため、悪いケースだと一時的・短期的な収益で終わるケースもあります。しかし、マンガ・アニメなどのコンテンツIPは、さまざまなコンテンツや事業へIPとして派生させることで、長期的にファンとの関係を構築し、経済圏として広がっていく息の長いビジネスと言えます。
上記のランキングの通り、IP経済圏の広がりは、国内にとどまりません。さまざまなコンテンツ・商品、施設が海外のライセンス・エージェントなどを通じて世界中の国へ展開されています。また、海外の人が日本に訪れる理由として、マンガ・アニメ関連のコンテンツ購入・体験を挙げており、「アニメの舞台=聖地巡礼」などの“アニメツーリズム”も人気です。さまざまな産業において、日本と海外をつなぐ役割を果たしていると言えます。
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