北斗の拳、ジョジョ、刃牙――「古典作品アニメ」が令和になって連発するワケ:エンタメ×ビジネスを科学する(1/2 ページ)
『北斗の拳』『ジョジョの奇妙な冒険』『グラップラー刃牙』といった作品はなぜ、令和の時代に再び脚光を浴びているのだろうか。これについて考察してみると、時代の変化がもたらした功罪が浮かび上がってくる。
人気漫画『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫)のアニメ化が、連載40周年を迎えるこのタイミングで発表された。スタッフ・キャストも新たに、最新の映像技術をもって映像化されるとのことで、待ちわびるファンの声が各所を賑わせている。
こうした80〜90年代に連載された今や「古典」とも言うべき名作たちのリメークの動きが、近年活発化しているのをご存じだろうか。
『北斗の拳』『ジョジョの奇妙な冒険』『グラップラー刃牙』といった、過去にアニメ化されている作品が、Netflixなどのオンライン配信サービスで再びリメークや新シリーズを展開している。これらの作品はなぜ、令和の時代に再び脚光を浴びているのだろうか。
その背景には、時代の変化がもたらした“功罪”がある。
「古典作品アニメ」が令和になって連発するワケ
まず、これらの作品の特徴を見てみよう。少し語弊があるかもしれないが、「さまざまな要因でマス向けには放送しづらいが、コアなファンを持つ作品」だといえる。
これらの作品がマス向けに放送しづらい理由として、今の価値観では暴力的に映る描写や奇抜な設定、独自の世界観やキャラクター性を持っていることが挙げられる。しかしその反面、作品内の多くの名言が時代を越えて語り継がれているように、当時の読者を中心に熱狂的なファン層を形成しており、海外にも多くの支持者を抱えている。このような特徴から、これらの作品は国内市場のみを対象にしては採算が合わないのだ。
いずれの作品もキャラクター同士の戦闘が見せ所であり、語り継がれる名場面や名ぜりふもそれに伴う場面が多い。しかしこれらは現在の一般的なテレビ番組では放送が難しいレベルの暴力・グロテスクな描写であることも少なくない。従ってビジネス的な観点では、これらの作品は、グローバルでの配信を前提とした制作、チャネル確保、スケジューリングが望ましいということになる。
成功例として、グラップラー刃牙シリーズやジョジョの奇妙な冒険シリーズが挙げられる。「刃牙」のアニメはNetflixが独占配信しており 、18年から2期にわたって配信したアニメ『バキ』はグローバルランキングでの上位をキープしている。
7月から配信している3期目にあたるアニメ「範馬刃牙」は、配信プラットフォーム集計サイトのフリックスパトロール(FlixPatrol)によると、TV Showランキングで2週間にわたりTop10入りを果たした。ジョジョの奇妙な冒険は「第6部」にあたるストーンオーシャン編でNetflix先行配信を行い、こちらもNetflix公式のGlobal Top10に入るなど、いずれも国内外から高い評価を得ている。
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