「値上げ=客離れ」はどうなった? ココイチの業績が好調なワケ:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
「1000円を超えるなんて、高い」「高級路線にかじを切ったのか」――。数年前からカレーチェーン「ココイチ」が、SNSで叩かれている。しかし、直近の決算を見ると、好調の数字が並ぶ。なぜギャップが生まれているのかというと……。
ココイチワールドも好調
では、ネットやSNSではこんな「大逆風」が吹いているのに、なぜ決算は好調なのか。まず大きいのは、確かに「値上げ」を繰り返しているものの、そのぶん、しっかりと新しい「価値」も提供していることだろう。
分かりやすいのは「スパイスカレー」だ。期間限定にはなるが、カレー専門店で1500円以上するようなクオリティーの高いスパイスカレーを、1000円前後で出し続けている。ちなみに、現在提供しているのは、タイの「マッサマンスパイスカレー」(980円)だ。
「ココイチはポークカレー(591円)で十分」というコスパを求める客からすれば、「高級カレー」以外の何者でもないが、自分でスパイスからつくるような「カレーファン」からすれば「専門店の味を格安で楽しめる」ことは、新たな価値を提供しているのだ。
また22年10月には海外店舗で出しているメニューを提供する実験店「ココイチワールド」を東京・京橋にオープン。好調で23年6月には名古屋にも出店した。「世界で売れているジャパニーズカレー」という新たな価値を訴求している最中だ。
このような価値の訴求に加えて、ココイチが好調なのは、ネットやSNSで「高くてもう行きません」「ココイチには1000円の価値などない」などと叩いている人々の売り上げが、それほど多くない――。ということもあるのではないかと考えている。
要するに、ココイチの「値上げ」で本当に店を去った人というのは、実はネットやSNSで騒がれているほど多くないのではないか、ということだ。
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