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「値上げ=客離れ」はどうなった? ココイチの業績が好調なワケ:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
「1000円を超えるなんて、高い」「高級路線にかじを切ったのか」――。数年前からカレーチェーン「ココイチ」が、SNSで叩かれている。しかし、直近の決算を見ると、好調の数字が並ぶ。なぜギャップが生まれているのかというと……。
声のでかいマイノリティー
顧客満足度向上プラットフォーム「ファンくる」を運営するROI(東京都千代田区)が、サイトの会員を対象に価格高騰についての飲食店の利用者意識を調査した(参照リンク)。その中で「値上げがあった飲食店への来店頻度はどうなりますか?」という質問に対して、63%が「減る」と答えた。これは予想通りという感じだが、意外なのは次の「値上げがあった際、その飲食店への印象はどうなりますか?」というものだ。
値上げした飲食店の印象が「悪くなる」と回答したのは20%にとどまり、80%が「変わらない」と回答したのである。
つまり、値上げのニュースになると「弱者切り捨て」「もう行きません」とボロカスに叩く人たちは、実際はそれほど多くない可能性がある。誤解を恐れずに言えば、「声のでかいマイノリティー」である。
値上げによってこのような人たちが去って、ネットやSNSで辛辣な意見が飛び交っても大多数の人たちは値上げをネガに捉えていない。だから、値上げで来店頻度が減っても「スパイスカレー」やバラエティーに富んだ新メニューなど「新しい価値」を提供し続ければ、客足も着実に戻っていく。
しかも、値上げによって平均客単価は上がっているので、客足が回復すれば当然、業績は好調になる。実際、値上げに成功した企業ではそのような好循環が見られる。
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