「値上げ=客離れ」はどうなった? ココイチの業績が好調なワケ:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
「1000円を超えるなんて、高い」「高級路線にかじを切ったのか」――。数年前からカレーチェーン「ココイチ」が、SNSで叩かれている。しかし、直近の決算を見ると、好調の数字が並ぶ。なぜギャップが生まれているのかというと……。
値上げで叩かれても
分かりやすいのは、ユニクロだ。もう忘れている人も多いだろうが、昨年夏にその年の秋冬物、フリースなどを最大で1000円値上げするというニュースが大きな話題となった。(参照リンク)
「安いニッポン」では、うまい棒が10円から12円に値上げするだけでも大騒ぎなので、当然この「大幅値上げ」は否定的に伝えられた。
評論家も厳しい苦言を呈して、ネットやSNSでは「1000円値上げで、あえてユニクロを選ぶ意味がなくなる」とか「値上げしすぎて高級メーカーになる」などやはりボロカスに叩かれた。
しかし、フタを開けるとこの値上げはそれほどネガな影響はなかった。ファーストリテイリングの22年9月〜23年2月までのグループの決算で、ユニクロの最終利益が、同じ時期では「過去最高」になったと発表したのである。
値上げでボロカスに叩かれても、数字的には「好調」という、今回のココイチと全く同じ現象が起きているのだ。これはつまり、ネットやSNSでの「値上げなんか許せん! もう行きません!」「消費者をバカにするな!」という怒りの声が、かつてほど消費者の声を正確に反映しなくなったということではないのか。
これまで値上げをした企業はネットやSNSの「高い! 庶民切り捨てだ」「もう行けない」という声を恐れた。マックや鳥貴族のように値上げをしてネットやSNSで批判されると、確かにその通りに客離れが一定期間続いて、業績にも悪影響を及ぼすことがあったからだ。
しかし、今はネットやSNSでボロカスに叩かれても、現実世界でそこまで深刻な「客離れ」は起きない。先ほどの調査が示すように、値上げを叩くのはマイノリティーであって、消費者の大多数は「値上げ企業」に悪印象を抱かなくなった。つまり、「容認」しているのだ。
この消費者意識の変化も、冷静に考えてみれば当然かもしれない。
関連記事
- 海外の「ココイチ」が日本に上陸 どんなメニューを提供するのか
カレーチェーン「ココイチ」を展開している壱番屋は10月11日に、「CURRYHOUSE CoCoICHIBANYA WORLD 京橋エドグラン店」をオープンする。同店は“海外ココイチの逆輸入”をコンセプトにしていて、日本で初めて海外のメニューを提供する店舗が登場する。 - カレー店を増やすのは難しいのに、なぜ「100時間カレー」は急増しているのか
「100時間カレー」をご存じだろうか。首都圏を中心に、ここ数年店舗数をどんどん増やしているのだ。カレー店を増やすのは難しいと言われているのに、なぜ急増しているのか。運営しているアークスの専務取締役に、その理由を聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.