「やる気」「気合い」に頼らなくいい――学び直しの6つの勘違い:やり方次第(1/2 ページ)
社会人の学び直し。「やる気」や「気合い」に頼ると失敗する。ではどうすべきか? 石角友愛氏の著書『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP、2023年)に、編集を加えて転載。
この記事は、石角友愛氏の著書『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP、2023年)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
リスキリングを実行に移す際、途中で断念してしまう人にありがちな勘違いを紹介します。時間や費用をかけて学び直すわけですから、その投資が無駄にならないようにしたいものです。
1. 「隙間時間」でやろうとする
例えばフルタイムの仕事が終わり、子どもを寝かしつけた後、夜の10時からリスキリングをしようと思っても、それはなかなかうまくいきません。
「隙間時間でリスキリングしよう」と思っても、社会人に「隙間時間」など存在しないことを肝に銘じるべきです。「空いた時間があったら学ぶ」では、いつまでたっても時間は確保できません。デロイトの調査によると、労働者が新たな知識や技能開発に充てられる時間は、週の労働時間の1%程度であるというデータもあります。
例えば、生産性の高い出社前の朝8時から9時の時間をリスキリングの時間と決めたら、何があっても死守するようにします。飲み会の翌朝は、すっきりとした頭で学習できないと思うのであれば、リスキリングの予定がある前日は飲みに行かないなどの我慢も必要です。
私もこれまでに何度かリスキリングに当たる学び直しをしたことがあります。その経験からもいえるのですが、リスキリングは生活の最優先に位置付けないと継続できません。
2. 「インプット=勉強している」と思い込む
多くの人が陥りやすいのが、「インプット=勉強をしている」と勘違いしてしまうことです。とくに日本の義務教育はインプットに偏っていて、アウトプットの機会が少ないため、「学びといえばインプット」だと思ってしまいがちです。
しかし、リスキリングに重要なのはインプットよりもアウトプットです。実際の業務上で評価されるのは、アウトプットがあってこそ。「ツールが使えるようになる」ではなく「使えるようになったツールを実務に生かす」ことが重要なのです。
リスキリングでは、アウトプットしながらインプットを続けていくことを意識しましょう。自分が学んだり思考したりしたことを、ブログやポッドキャストなどで発信するのも有効です。
3. 「Fear of Asking Dumb Questions」の恐怖
Fear of Asking Dumb Questionsというのは、ばかな質問をしたらどうしようという恐怖から、質問ができないでいる状態を指します。「こんなことを聞いてばかだと思われないだろうか?」という恐怖で質問できないと、せっかくのリスキリングを中途半端なものにしてしまいます。
このように「ばかだと思われないだろうか?」という落とし穴にハマるのは、その学びがインプットだけになっているからです。常に学んだことを使ってアウトプットをしていれば、ばかな質問にはなり得ません。というのも、自分が実際に行動を起こした際に生まれる具体的な質問は、多くの場合、非常に建設的なものになるからです。
アウトプットをしながらインプットをする重要性はここにもあります。アウトプットして「ここがうまくできなかった」「なぜつまずいたのだろう」と考えることは、良い質問につながり、さらなる学習や情報収集の機会につながります。既知と未知をつなげる連想力を養う力も身に付きます。
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