100年続く「ディズニーアニメ」の変化 子どもより大人がハマる秘められたメッセージ:グッドパッチとUXの話をしようか(2/3 ページ)
10月16日、ウォルトディズニーカンパニーは創立100周年を迎えた。ミッキーマウスの人気に伴い、その地位を確固たるものにしてきた同社だが、最近手掛けるアニメ映画のテイストに変化が見られる。一見子ども向けに見えるアニメにハマる大人が増えてきたのだ。どのようなメッセージが隠されているのかというと……
「親のほうが楽しめる」がキーワード?
少し話がそれますが、近年子ども向けの映像作品に大人が大ハマり! なんて話題をよく耳にします。もちろんディズニー映画のように家族で楽しめるようにすることは、ファミリー層を対象にする戦略であれば当然あり得ます。ところが、どちらかというと子ども向けなのに、その意外な奥深さに親の方がハマってしまったり、単身層からも人気なコンテンツが多くあります。
例えば少年のヒーローとして有名な『仮面ライダー』も、平成ライダーと呼ばれる近年のシリーズでは若手俳優が多く器用され、「俳優の登竜門」と呼ばれています。同じく戦隊ヒーローシリーズや『プリキュア』も、登場人物間に描かれる複雑なストーリーに魅了される大人が急増しています。NHKで放送される『おかあさんといっしょ』に出演する「うたのおにいさん」や「たいそうのおにいさん」もお母さんたちからの人気が高く、放送中にTwitterでその様子が実況されるなんてこともあるとか。
『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』といった子ども向けアニメ代表だった作品も、近年の長編映画では3D映像になっていたり、親の共感を誘う視点でストーリーが描かれています。その他のアニメ作品も、深夜放送が人気枠であったり、子どもが大嫌いな「鬼」や「霊」がメインテーマだったりと、どんどん大人向けに変化しているように思えます。
また、アニメの視聴方法もテレビだけだった時代から進化し、サブスクサービスでの視聴が増えています。アニメの制作側はむしろ複雑にストーリーを構成し、視聴者が何度も観ることで毎回新たな面白さを発見できるようにしているそうです。
これは筆者の予想ですが、少子化や結婚年齢の高齢化が進み、子ども向けだけでは昔ほどの人気獲得が難しくなってきているという市場の変化が顕著に現れているように感じます。
少し前の時代より、金銭的に余裕のある子育て層が増えたことで子どもの教育やおもちゃに使われるお金が増えてきているといった背景や、子育て自体が「やらなくてはいけないもの」という意味合いから「子どもと一緒に楽しむもの」といった概念に移行してきている結果、こういったコンテンツの作られ方に変化が見られるではないかと考えられます。
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