バブル世代の敏腕営業が大量離職 営業力の低下を今から食い止めるには?:営業DXで応える(2/3 ページ)
バブル世代の敏腕営業たちが定年退職により会社を去ったあと、営業力は低下の一途をたどるかもしれない。彼らの営業力を資産として会社に残すためにはどうすればよいのだろうか?
バブル世代の「営業資産」を会社に残す方法は?
とはいえ、バブル世代の営業DX感度は高くない。バブル世代の下の世代となる「氷河期世代」が高い感度を持ち、セールステック・営業DXツールの導入を決裁している。そして、さらに下の世代である「ミレニアル世代」でうまく運用できるか実験している。営業のデジタル資産化に向けた取り組みは世代をまたいで行われる。
営業資産をデジタル化し、後世に引き継いでいく方法を紹介する前に、バブル世代・氷河期世代・ミレニアル世代それぞれの「営業社員としての特徴」を整理しよう。
各世代の営業社員の特徴
バブル世代はよく働く。いわゆる「モーレツなサラリーマン」だ。会社への奉仕精神が高く、働く時間も長時間勤務を厭(いと)わないマインドを持っている。そして何よりコミュニケーション力が高い。対面での商談や、接待や飲み会といった、顧客に会いにいく技術は抜群だ。
高い熱量とコミュニケーション力を持ったバブル世代は、中小企業の経営者、大手企業の決裁者クラスが同世代となる。同じ世代でトークもはずみ、顧客にも受け入れられやすい。これまでの営業活動で培われた人脈や、顧客の仕事を進めるための勘所もある。営業としての「売る能力」が非常に高い。
氷河期世代は、バブル崩壊後の就職氷河期に憂き目を経験しているため、物事を引いて考える。仕事の進め方としても客観的に会社のことを考えられる傾向にある。暑苦しいコミュニケーションも少し苦手だ。お笑いタレントで言えば有吉弘行さんのような、皮肉をユーモアに変えるような話題に共感する。
成功体験を持つバブル世代に対して、失敗体験の苦さを知っている就職氷河期世代は「危機意識」と「堅実さ」を兼ね備えている。セールステックや営業DXで自社の営業力を高めるプロジェクトも、実は氷河期世代が中心に進めることが多い。
ミレニアル世代は、子供のころからインターネットに慣れ親しんでおり、高いITリテラシーを持っている。SNSで「いいね」を押されることを良しとする価値観のため、横のつながりや共感を重要視する。また「ゆとり教育」の世代でもあるため、競争よりはワークライフバランスを好む営業も多い。会社への帰属意識もあまり高くはなく、プライベートを大切にする人も少なくない。
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