顧客は自社の課題を「分かっていない」 営業は何を、どう提案すべきか?:ハイパフォーマンス営業の頭の中(1/3 ページ)
顧客は意外と自社の課題をしっかり把握していません。技術の進化に伴い、取り組める課題が多様化したことが背景にあります。そんな時代において、営業は「何を」「どう」提案すべきでしょうか?
連載:ハイパフォーマンス営業の頭の中
圧倒的な成果を出し続ける営業は、日々どのようなことを考え、どのように実行しているのだろうか? キーエンス、SAP、freeeなどで16年の営業キャリアを積んだ筆者が、早期に成果を出すためのヒントや営業組織の強化方法を紹介します。
前回の記事では「なぜ営業に仮説が必要なのか?」「仮説を使うとどのようなメリットがあるのか?」について書きました。
「自社のサービスが解決できる課題」が明確な場合は、商談を「型」にすることで成果が出せます。例えば、自社が請求書発行のプロダクトを提供しており、多くの企業が「インボイスに対応した請求書を発行するためにシステムを改修しないといけない」という課題を抱えていることが分かっていれば、同じような提案を繰り返すだけでも成果が出ます。
しかし、多くの競合が参入している状況であれば、ただインボイス対応した請求書を発行できるだけでは競合優位性がなく成果にはつながりません。
価格勝負に陥らないためには、見積書や売上承認と請求書の照合、請求書から自動的に売掛管理台帳を作るといった競合と差別化するための機能を付加していく必要があります。このような機能は誤請求が多い、未入金が多いといった別の課題を解決することで価値を発揮します。こうした課題がない顧客においては価値を発揮しません。
そうなってくると、自社のプロダクトの機能やそれによって得られる恩恵の話をする前に、顧客の課題を理解して認識を合わせる必要があります。
では、顧客に「あなたの課題はなんですか?」と聞けばいいかというと、そうではありません。なぜなら、顧客自身が「何に取り組むべきか」に対して明確な答えを持っていないことが大いにあり得るからです。技術が進化して多くの解決策が取れるようになったことで、取り組むべき課題が複雑化したことが背景にあります。
仮に課題を認識していたとしても、解像度が低い場合が多いです。営業がそれを具体化できれば競合に対して優位性を発揮します。
このような場面で成果を出せる営業になるには、営業自身が「顧客の課題は何なのか?」を考える必要があります。顧客によって課題は違うので、必要なのは定型的な説明ではなく仮説です。
では、どのように考えていくといいのでしょうか?
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