「営業から買う」は時代遅れ B2Bテック製品の購買ジャーニー、どう変化している?:ミレニアル世代が「メイン購入者」に(1/3 ページ)
B2B営業の購買ジャーニーが変化してきている。これまで当たり前だった「営業から買う」というスタイルはすでに時代遅れになりつつある。なぜだろうか? 購買者の変化を踏まえ、今後の営業のあり方を考えてみよう。
B2B営業が知っておくべき情報がある。米国のレビュー調査会社・TrustRadius社の調査によると、B2Bのテクノロジー製品の購入者の大半は「ミレニアル世代」だという。その割合は60%に上る。
世代が変化すると、購入者のジャーニーが大きく変わる。そしてB2Bセールスのあり方も抜本的に変化する。この時代の変化を意識しなければ時代遅れの営業組織になってしまう。これまでのB2Bセールスのあり方と比較しながら、新しい営業の形を解説していく。
昔と今で「営業」のあり方はどう変わった?
従来のB2Bセールスでは、製品のことは「営業に教えてもらう」スタイルが当たり前だった。企業は営業担当を重要な情報収集リソースとして捉えており、「この人の言うことなら信じる」「〇〇の分野ならこの人」と、営業を高く評価することもあった。
そのため、営業担当は顧客のもとに定期的に通う。「顧客とたくさん話そう」と営業部門でも士気を高め合っていたはずだ。実際に、営業しか持っていない情報も多く、企業同士の関係を超えて「パートナー」のように営業を捉えていた。
では、ミレニアル世代が上の世代と決定的に違う部分は何だろうか。それは「オンラインネイティブ」であることだ。オンラインで製品を発見する力は、上の世代の2倍あるといわれている。ミレニアル世代は何でも自分で調べる。そして極端な話、営業を信用していない。できる限り自分で調べて、それでも分からないことだけ営業担当に聞くという購買行動をしている。
TrustRadius社のデータによれば、ミレニアル世代の87.0%は「購入プロセスをセルフサービスで行いたい」とのことだ。加えて、29.0%は「購買における全ての工程を自己完結したい」と回答している。つまり、できる限り営業に関わりたくないと思っている。
とすると、B2Bセールスのあり方も全く変わってくる。営業不在でセールスができる体制が必要だ。顧客が自分で調べられるように、営業プロセスにおいてもデジタルコンテンツの大幅強化が不可欠になる。
「営業が教える」のではなく、「顧客が調べる」ことを前提に法人営業を組み立てる必要があり、商談時間に加え、非商談時間(商談前後の時間)で顧客が購買のための情報収集をするシーンにおける「営業のセルフサービスの仕組み」が必要になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
米国で進む「営業マネジャー」リストラの深層 日本への波及は?
米国で「営業マネジャー」をリストラする企業が増えている。なぜなのだろうか? また、米国の営業トレンドを成長してきた日本にはどのような影響があるのだろうか?日系大手はなぜ「古い営業」と言われ続けるのか? 米国企業に学ぶ、打開策
さまざまな営業現場で、日系大手企業特有の営業組織の課題を耳にする。その実態を浮き彫りにさせてながら、日本企業が変わるにはどうすればいいのか、米国企業の取り組みを参考に考察する。ChatGPTが変える営業 「プロダクトセールス不要説」を唱える米国企業の意図とは?
ChatGPTは営業のあり方をどう変えるのか? ChatGPT誕生を受け、米国の企業では「プロダクトセールス不要説」が唱えられ始めている。一体どういうことなのかというと……キーエンスの営業は「何が」すごいのか? 営業利益率54%超を支える2つの特徴
キーエンスは2023年3月期の決算で営業利益54.1%を記録し、2年連続で過去最高を更新しました。驚異の利益率を誇るキーエンスの営業組織の強さを読み解いていきます。形骸化した日本企業の「営業研修」 米国企業に学ぶ4つの整備すべきコンテンツとは?
形骸化しいている日本企業の営業研修、その理由の一つに「顧客視点」が欠落していることが挙げられる。米国企業を例に、今取り組むべき営業研修を探っていく。