新生「東京モーターショー」開幕直前 4年ぶり開催で見えるクルマの未来とは:鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(1/3 ページ)
10月26日から「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」がスタートします。「東京モーターショー」から名前を変え、“モビリティ”のショーへの変化を宣言しました。開幕直前の今、ショーから見えるクルマの未来を探ります。
10月26日から「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」がスタートします。一般公開は28日からで、会期は11月5日までとなります。このイベントは、これまでの「東京モーターショー」が名前を変えたもの。言ってみれば「モーター」ではなく、「モビリティ」のショーへの変化を宣言した形です。
国際的な存在感があった「モーターショー」
もともと「モーターショー」は、自動車業界にとって最大のイベントとして、非常に高い人気がありました。東京モーターショーは、デトロイト、フランクフルト、パリ、ジュネーブと並ぶ、世界の5大ショーとして、国際的な存在感を誇っていました。世界中から集まった報道陣の前で、誰も見たことのない新型車が披露される。それが国際的なモーターショーです。
ところが、インターネット時代が到来すると、そうしたモーターショーの存在価値が、どんどん低下していきます。新車を発表するだけならネットで見れば十分。そちらの方が安いし、目にする人も多いというわけです。自動車メーカー的には、国内はいざしらず、海外のショーにまで出掛けていって新型車を出品するのは、コスパが悪いということになります。
こうした背景があって、モーターショーの来場者は徐々に減っていきました。1991年開催の来場者数約202万人をピークに、2009年開催は約61万人、17年は約77万人と激減。近年は、100万人を切るのが当たり前のような状況になってしまいました。同時に海外ブランドの参加も減少。近年の東京モーターショーは、ほぼ国内メーカーだけという状況になっていたのです。
ちなみに、これは日本に限った話ではありません。先進国のモーターショーは、どこも似たような状況です。フランクフルトもパリも海外ブランドの参加は激減していましたし、デトロイトは同時期に開催されるエレクトロニクスショー「CES」の存在感が拡大したため、開催時期を例年とは違う時期に変更しました。ドイツは21年から開催地をフランクフルトからミュンヘンに変更しています。
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