「韓国流マンガ」は市場を支配するのか? webtoonと漫画の戦略を比較する:エンタメ×ビジネスを科学する(2/4 ページ)
近年、韓国発祥のwebtoonという新しい形態のマンガ/コミックが急成長している。今後、漫画とwebtoonはどちらが優位に立つのだろうか?両者の現状を再確認した上で将来を展望する。
webtoonは工業製品、漫画は伝統工芸品
次に、コンテンツとしての主な特徴について、webtoonと漫画を比較してみよう。
項目 | 漫画 | webtoon |
---|---|---|
読み方 | ヨコ読み | 縦読み |
色 | 白黒 | フルカラー |
チャネル | 紙媒体・電子書籍アプリ | スマホアプリやPCのブラウザ |
表現の幅 | 白黒でのコントラストや濃淡 | フルカラーでの色彩表現や効果音、縦スクロールに合わせた演出やアニメーションを活用 |
原作 | 漫画・小説・web小説など | web小説 |
読者層 | ライトに楽しめるものから世界観に入り込んで読む重厚なものまで幅広い | 隙間時間に読めるライトなもの |
制作・編集体制 | 漫画家が出版社と連携して作品を制作 | スタジオ型の分業制 |
マネタイズ | 紙・電子媒体での雑誌・単行本の販売 | 配信プラットフォーマーでの話単位の販売 |
webtoonはディスプレイに表示したイラストが源流であるため、主にブラウザで縦スクロールで読むものである一方、漫画は雑誌が源流であるためページめくりで読む。この違いは新規層への普及に際して重要となる「読みやすさ」に影響を及ぼす。
またwebtoonはイラストにせりふを加えたものが源流でもあるため、カラーが主であり、色彩を用いてキャラクターの感情や場面ごとの状況を表現する。一方漫画は、雑誌掲載を前提にしているため白黒が主であり、線やトーン、コマ割りなどの技法を用いて表現する。
最も大きな違いは制作体制である。webtoonは企画から作画まで多数の人が参加する水平分業で行われており、漫画よりもアニメや映画の作り方に近い。プロデューサーに相当する企業・担当者がスケジュールやコスト管理を行うことで、制作体制を効率的に動かせる。
対して、漫画は企画から作画まで一人の漫画家が行い(原作と作画が別れている場合も存在する)、スケジュール管理や各種マネジメントは出版社の担当編集が行うのが主である。あえて例えるなら、webtoonが工業製品、漫画が伝統工芸品となるだろう。
またwebtoonはweb小説で人気の作品を原作とするのが主であるため、人気・売り上げの見通しが立てやすい一方で、web小説の人気が特定ジャンルに集まりがちなためwebtoonのジャンルも偏りがちである。
対して漫画は漫画自身が原作であることが多いため、売り上げの見通しは立ちにくいという難点があるが、出版社・担当編集が雑誌・媒体ごとのジャンルの多様性を意識して選別しているため、さまざまなジャンルの作品を掲載しやすい。
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