新生モーターショー ホンダの展示に見た、実用化への執念:鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(1/3 ページ)
10月25日から開催中の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」。今回、注目すべきはホンダと言えるでしょう。ホンダが展示したモビリティには、ある共通点があったのです。
10月25日から「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」(以下、JMS2023)がスタートしました。これは、これまで2年ごとに開催(2021年はコロナ禍で中止)されてきた「東京モーターショー」が名称を変えたイベントです。
今回のテーマは「みんなで一緒に未来を考える場」。主催は、これまでと同じ日本自動車工業会ですが、名称通り「モーター(自動車)」から、より広い範囲を含む「モビリティ」のショーへと趣旨が変更されています。クルマの存在価値が大きく変化しようとしている時代の流れに合わせ、自動車業界における2年に一度の大きなショーも衣替えを行ったというわけです。
各社が力を入れるコンセプトカー
一般公開に先立って報道陣向けのプレスデーに参加したところ、どの出展社ブースにも趣向を凝らしたコンセプトカーが数多く展示されていました。前回予定されていた21年開催が中止になったため、今回は4年ぶりとなります。その分、各社ともにJMS2023に掛ける強い思いがあったのでしょう。
ちなみにコンセプトカーとは、自動車メーカーやサプライヤーがショー(展示会)のために用意したクルマのこと。販売されている量産車ではありません。架空のクルマであり、自動車メーカーやサプライヤーが、自社の考えていることをアピールしたり、市場の反応を確認したりするためにつくります。
ただし、厳密なルールがあるわけではないので、さまざまなレベルのクルマが存在します。例えば、本当に名前の通りコンセプト(アイデア)先行で技術的に実用化できないもの。一方、技術的に可能であり、実際に数年先の販売を考えているもの。そして、発売直前であり、その宣伝・告知のために、ほぼ量産車に“コンセプト”と名付けたケースもあります。
会場では、今話題となっている「空飛ぶクルマ」のコンセプトカーも数多く目にしました。これは、ショーのテーマがモビリティに範囲を広げたことで起きた変化と言えるでしょう。専業で開発を進めるスカイドライブ社だけでなく、ホンダやスズキ、そしてスバルのブースにも展示されています。空飛ぶクルマはまだ実用化されていませんから、これらの展示車は全てコンセプトカーというわけです。
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