新生モーターショー ホンダの展示に見た、実用化への執念:鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(2/3 ページ)
10月25日から開催中の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」。今回、注目すべきはホンダと言えるでしょう。ホンダが展示したモビリティには、ある共通点があったのです。
「モビリティショー」だからこそ強いホンダ
さて、ショー全体の変化を見ると、今回のJMS2023で個人的に内容が充実していたなと思ったのはホンダでした。
そもそもホンダは、テーマが「モビリティ」になった時点で有利です。同社はオートバイメーカーとして創業し、自動車へ進出。それと並行して、船外機や農機具なども作るようになりました。さらにはホンダジェットという飛行機まで販売しています。
今回のホンダのブースには、実寸大のホンダジェットの機体(本体のみ)が飾られていました。これは22年10月に発表された「HondaJet Elite II」というアップグレードバージョンで、その姿はまさに圧巻! 展示会場では、室内に乗り込むこともできます。
さらに空のモビリティ「Honda eVTOL(イーブイトール)」の模型も展示されています。これは21年9月に発表済みのもので、現在、開発が進んでいるホンダの空飛ぶクルマです。前述の通り、ホンダはすでに飛行機を販売しているメーカーですから、空関係の展示の充実度は間違いなくナンバー1と言えるものでした。
また、オートバイメーカーとして創業したホンダは、小さな乗り物も得意分野です。再生樹脂から作られた「Pocket Concept(ポケットコンセプト)」や、交換式バッテリーの「SC e:Concept(エスシー・イー・コンセプト)」といったEVバイク。もっと小さな個人向けのモビリティである「UNI-ONE(ユニワン)」も出品されていました。
さらに、技術的な展示が多いのもホンダブースの特徴。アバターロボットや燃料電池モジュール、バッテリー交換ステーション、可搬型外部給電機がそろっていました。
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