「資さんうどん」と書いて、“すけさん”うどん、と読む。「知ってる!」「聞いたことがある!」という方は、少なからずいらっしゃるだろう。
資さんうどんは、創業者・大西章資(しょうじ)さんの名前を冠して、1976年に北九州市戸畑区に第1号店をオープン。北九州市のソウルフードとして親しまれているだけでなく、出張・旅行で訪れた人々にも「北九州・ご当地の味」として人気が高い。
近年では、北九州市出身の芸能人が“故郷の味”としてファンを公言するなど、思わぬ形でご当地うどんとしての資さんの存在が知られることも。また23年10月には、北九州市で行われた「竜王戦七番勝負・第3局」で、藤井聡太八冠が「勝負メシ(対局中の昼食)」に、資さんの看板メニュー・肉ごぼ天うどんを選択。その存在は、改めて全国に知られることとなった。
北九州のソウルフードとして名高い資さんうどんは今、創業の地・北九州市から、出店エリアをどんどん広げている。23年8月には岡山県に初進出(岡山大元店)、そして11月20日には、関西初の常設店舗「資さんうどん 今福鶴見店」のオープンを控えている。
北九州で絶大な支持を得ている資さんうどんは、なぜ今関西に打って出ようとしているのか。資さんの佐藤崇史社長に、関西進出への経緯や意気込みと、今後の展望をうかがった。
資さんが愛される2つの理由
資さんうどんの麺は適度にコシとモチモチ感があり、ダシは甘さ控えめ。麺のボリュームもあり「あぁ、食べた!」という満足感を味わえるのが特徴だ。
福岡県で「うどん」といえば、福岡市を中心によく食べられる「博多うどん」を想像する人も多いかもしれない。しかし、おなじ福岡県のうどんでも「スメ(博多うどんのかけつゆ)を吸うような柔らかい麺」ではなく、九州に多い「甘いしょうゆのだし」とも違う、資さん特有の味わいがある。
同じ福岡県にありながら、資さんうどんが博多うどんと違う独自路線を取った背景には、同店の創業の地・北九州市の土地柄があるという。
かつて北九州市は製鉄所が集積する「製鉄の街」として繁栄していた。1号店の「一枝店」(北九州市戸畑区)では、製鉄所のハードな仕事を終えて来店する人々も多く、好みに合わせて麺は食べ応えのあるものに。かつ、ダシは昆布に加えてうまみが濃いサバ節を使うようになったという。
また、北九州には「屋台でぼた餅を出す」という独自の文化があり、今でも市内の「旦過(たんが)市場」では、屋台の一品として「おでん・いなり寿司・ぼた餅」を並べる店があるという。来店客からの「ぼた餅ある?」「丼ものも食べたい」「(製鉄所の食堂では出ない)酒とつまみが欲しい」などさまざまな要望に、創業者・大西章資さんが応え続けた結果、メニューが100種類を超える現在の「資さんうどん」が形作られていったのだ。
そんな北九州のソウルフード・資さんうどんだが、関西進出で手応えは感じているのか。佐藤社長の返答は……?
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