米スターバックスの「男女格差対策」がすごい 日本企業でもマネできる一歩は(3/3 ページ)
日本のジェンダー不平等は世界的に見て深刻な状況にあります。なぜ今、ダイバーシティ推進に力を入れる必要があるのか、また、社内のジェンダー不平等にどのように対応・開示していけばよいのか、米スターバックスの事例をもとに解説します。
なぜ今、ダイバーシティ推進なのか?
男女格差の縮小・解消を含めた企業内のダイバーシティ推進が、企業の業績や企業価値の改善につながることを、さまざまな研究や報告書が指摘しています。具体的には、人材確保や定着率向上、幅広い顧客層への対応力の強化、イノベーションの加速化などが期待できます。
企業には自社の経営状況・事業状況を踏まえながら、適切で包括的な方針・施策を通じて男女格差の縮小や解消を進めていくことが求められているのです。日本企業にとって男女不平等の解消に動くべき理由は、社会的な公正性の観点にとどまらず、経済的にも大きな意義を持つと考えられます。
次回の記事では、より日本の文脈にフォーカスして、この要因分析と対応をどのように進めていくべきか、「要因・打ち手マップ」を紹介しながら説明したいと思います。
著者プロフィール
前川 昭平(まえかわ しょうへい)
SDGインパクトジャパンCOO。同社でESG投資戦略における企業のESG分析やエンゲージメントを担当。
SDGインパクトジャパンについて
金融及びサステナビリティの専門家によって設立された、サステナブルファイナンスに特化した企業。国内外の有力なパートナーとともに、サステナビリティにフォーカスした運用戦略の組成・運営推進や、サステナビリティ向上に貢献する革新的な事業のインキュベーションを実施。取り組みの一つであるNextGen ESG Japan戦略では、欧州のSFDR9条の方針に準拠した戦略として、企業へのエンゲージメントを通じたESG観点のインパクト創出と企業価値の向上の両立を目指す。2023年に環境省のESGファイナンスアワードジャパンで特別賞を受賞。Webサイトはこちら。
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