「最近の若者は……」と突き放す上司は淘汰される、これだけの理由:働き方の「今」を知る(2/5 ページ)
上司と部下はいつの世代も分かり合えないのが世の常だ。しかし「若者世代はよく分からない」といって、部下とのコミュニケーションを放置するような上司や先輩は、どんどん淘汰されていく可能性が高い。なぜかというと……。
「部下の気持ちが分からない」と放置するのは、会社を傾かせるのと同じこと
ただ「若者世代はよく分からない」からといって、部下とのコミュニケーションを放置するのは、上司・先輩世代にとって得策ではない。若者世代の考えを理解しない企業や上司は、どんどん淘汰されていく可能性が高いからである。
その最大の要因は、企業各社における人手不足にある。
帝国データバンクによると、正社員が不足している企業は51.4%で、コロナ禍前の水準へと完全に戻っている(全国の全業種、2万7768社を対象に調査)。さらに中小企業に限れば、日本商工会議所が9月末に公表した調査で「人手が不足している」と回答した中小企業の割合は68.0%と、ほぼ7割に達した。
この割合は調査を開始した2015年以降で最高水準であり、その中でも約6割の企業は事業運営に支障が生じるレベルの「深刻」な状態だと回答。少子化の影響で若者の絶対数自体も減少している状況でもあり、今後人手不足感はさらに高まることはあっても、解消されることはおそらくないだろう。
だからこそ、部下世代の考えや価値観を理解し、良好な関係を構築・維持していくことが、現役世代にとって強く求められるのだ。
読者諸氏の中には、就職氷河期世代もおられることだろう。当時は正社員の立場を得ることさえも厳しく、仮に無事に入社できても、その後の社内競争が厳しく「お前の代わりなんていくらでもいるんだ!」と言われた経験から、そうした感覚が染みついている人も多いことと思われる。ただ当時と比較して、時代は大きく変化した。
人口ピラミッドの構造からも明らかな通り、これからは「若い労働力である」というだけで希少価値を持ち、若手人材を各社で奪い合う時代へと突入することは間違いない。若手を首尾よく採用できても、長きにわたって定着してくれるかは職場環境次第。そのためにも上司世代である皆さまが部下世代を深く理解し、日々のコミュニケーションに配慮できることが重要となるのだ。
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