中小・零細を支える謎の「フルタイムパート」 就業規則の規定に合致しない存在だが、問題は?:フルタイムのパート社員という矛盾(1/3 ページ)
正社員と同じ時間働いているのに扱いは「パートタイマー」という働き手がいます。彼らの問題移転と企業側の対応策について解説します。
中小・零細企業において正社員と同じ時間を働くパートタイマーを見ることがあります。この人たちは一般的に「フルタイムパート」と呼ばれ、勤続年数が長く正社員並みの技能を持ち、仕事に対する責任感や使命感が高く、周囲からの信頼も厚い存在であることが多いです。
にもかかわらず、パートタイマーという立場から正社員に比べ賃金額が低くとどまっていたり、賞与が支給されなかったりと待遇面で恵まれていないというネガティブな側面もあります。今回は、このフルタイムパートの問題点と企業側の対応策について解説していきます。
就業規則の規定に合致しない「謎の存在」
そもそも一般的に言われる「パートタイム労働者」とはどんな働き方を指すのでしょうか。パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)では、以下のように定義されています。
一週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い労働者
正社員なら1日8時間働くが、パートタイム労働者は4時間だけ働くというイメージです。一般的な就業規則でもパートタイム労働者の定義は「正社員に比べ所定労働時間が短い者」と記載されているケースが多いです。
これに対して、フルタイムパートは正社員とほぼ同じ所定労働時間を働くので、パートタイム・有期雇用労働法の定義からも、就業規則で定めるパートタイム労働者の定義からも外れてしまいます。
では正社員かと言うと、就業規則で正社員は月給制と定義されることが多いため、時給制のフルタイムパートはこの定義からも外れてしまいます。
このように、フルタイムパートは就業規則上で会社に存在しない謎の雇用形態ということになり、正社員とパートタイム労働者で違いがある労働条件についてはどちらが適用されるか曖昧(あいまい)です。こういった部分から会社に対する不信感が芽生え、労使トラブルに発展するケースがあります。
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