新しい「音楽の聖地」になれるか 横浜みなとみらいに“規格外”のアリーナが生まれたワケ(1/5 ページ)
9月29日、みなとみらい21地区に2万席超、世界最大級の音楽に特化した「Kアリーナ横浜」が開業した。音響の良さ、どの席からもアーティストを正面から見られる扇形、千鳥配置の客席設定、座っていて疲れないファブリックシートなどについては報道されている。しかし、Kアリーナにはそれ以外にもいくつか画期的な点がある。
9月29日、みなとみらい21地区に2万席超、世界最大級の音楽に特化した「Kアリーナ横浜」(以下、Kアリーナ)が開業した。立地するのはみなとみらい21地区中心部と横浜駅の両方に近接した水辺のエリア。規模、立地から考えると、完成に近づきつつあるみなとみらい21エリア内では、最後のビッグプロジェクトといっても過言ではない。
民間だからできた観客ファーストな設備
こけら落としとなった地元・横浜出身のデュオ・ゆずのライブについては、すでに多くのメディアで取り上げられており、音響の良さ、どの席からもアーティストを正面から見られる扇形、千鳥配置の客席設定、座っていて疲れないファブリックシートなどについては報道されている。しかし、Kアリーナにはそれ以外にもいくつか画期的な点がある。
分かりやすいのは飲食が可であるという点。座席には2つのカップホルダーが用意されており、7階には夜景が楽しめるバーラウンジ「Arena Bar7」、5階にはゆったり食事を楽しめる約400席の大空間のラウンジ「Lounge5」がある。売店は場内に11カ所用意されており、開演前、開演中、開演後と自分の好きなタイミングで飲食を楽しめるのである。
コインロッカーは全体で6200口あり、その充実ぶりも観客にとってうれしいところ。2万人が入るとなると全く混雑がないことは想像できないが、それでもかなり潤沢に用意されていることは間違いない。
これらが可能になったのは、音楽を楽しむことに特化した民間のアリーナだから。「何を当たり前な」と思われるかもしれないが、日本でライブ会場として使われているホール、劇場など既存施設は、公共の施設が少なくない。
音楽専門ではなく、多種のパフォーマンスに対応できるようにしてある会場も多く、となると音楽を聴く場としては物足りないことも想像に難くない。設備に関しても法令的に必要なモノは用意するとしても、それ以上に快適さを考えて作るという配慮がなされているかどうかはご自身の経験から判断していただきたいところだ。
関連記事
- 東京23区にも“秘境”があった! 秘境駅になってしまう大きな2つの要因とは?
3月17日〜5月7日、JR東日本が「東京23区内秘境駅ラリー」なるイベントを開催した。23区内には100人いたら90人くらいが駅名を知らない、その駅で降りたことがないという秘境駅が存在している。ラリーで取り上げられた駅を含めて秘境駅を紹介するとともに、なぜ秘境なのかを分析していこう。 - オーシャンビューなのに2000万円台 単身女性が買う「海の見える家」の正体とは?
三浦海岸できちんと目の前に海が見えるリゾートホテルが、分譲マンションにコンバージョン(建物の用途変更)して販売されているという。しかも、高騰する都心部に比べると価格もお手頃。進化するコンバージョンと、海の見え方を確認しに三浦海岸に向かった。 - 高円寺はなぜ、吉祥寺に勝てないのか 街とジェンダーの“なるほど”な関係
「個性的な店が減った」「観光地化している」とあれこれ言われながらも長らく人気の街、吉祥寺。中央線沿線にはより都心に近い駅もあるが、それでも吉祥寺は頭1つ抜けている。その理由をジェンダー的観点から解説しよう。 - 人気店やスタートアップでにぎわう五反田 一方、懸念される建設ラッシュ
便利だが猥雑、どこかもさっとした印象のあった五反田駅周辺が変貌しつつある。駅周辺で複数の大規模な開発が進み、予約の取れない居酒屋が話題になり、スタートアップが多く集まっている。五反田に一体何が起きているのか。 - トップ3も過去の話 なぜ恵比寿は「住みたい街」常連から陥落したのか
住みたい街ランキングで、10年近くトップ3を独占していた横浜・吉祥寺・恵比寿のうち、恵比寿が4位に転落した。なぜ恵比寿は、住みたい街の常連から転落したのか。住まいと街の関係に詳しい、東京情報堂の代表を務める中川寛子氏に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.