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新しい「音楽の聖地」になれるか 横浜みなとみらいに“規格外”のアリーナが生まれたワケ(2/5 ページ)
9月29日、みなとみらい21地区に2万席超、世界最大級の音楽に特化した「Kアリーナ横浜」が開業した。音響の良さ、どの席からもアーティストを正面から見られる扇形、千鳥配置の客席設定、座っていて疲れないファブリックシートなどについては報道されている。しかし、Kアリーナにはそれ以外にもいくつか画期的な点がある。
自前の設備で設営時間を大幅短縮
Kアリーナの企画を担当したケン・コーポレーション企画部の鳥山彬弘課長によれば、そもそも、日本のほとんどのアリーナは舞台、音響、照明などの設備は備えていないのだという。
「従来のライブ会場は不動産でいえばスケルトンの状態で貸し出されています。コンサートのためには開催日前の2〜3日間を設営に費やし、終了すると一晩かけて撤去するのが当たり前だとされてきました。
でも、そこに設備があることで設営の時間が短縮されたらもう一日、違う公演ができるかもしれません。より多様な表現も可能になります。私たちはグループ企業でライブハウスを運営していますが、ライブハウスでは仕込み日は発生しません。そこでKアリーナでもそれに近いやり方を採用しました」
外部からは「会場自前の設備があっても使われない」「無駄だ」という声もあったそうだ。しかし、同社はこれまでの常識にこだわる必要はないと、企業の催事や式典レベルではない、コンサートでも使えるハイスペックな設備を常設するという決断をした。
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