100円稼ぐのに「1.6万円超」の経費 “コスパ悪すぎ”路線も……
「営業係数ランキング」の上位は、通学需要などを見込めない「県境またぎ区間」がそのほとんどを占めている。また8位の山田線のように、並行する国道106号線を走る急行バスにすっかり乗客を取られてしまったケースもある。
その中で異彩を放っているのが、1位の久留里線・久留里駅〜上総亀山駅間だ。この区間の営業係数は「16821」。100円の運賃を稼ぐのに、なんと「1万6821円」の経費を要しており、収支率(運行経費/運賃収入)はわずか0.6%。あまりにもコスパ(コストパフォーマンス)が低い状態が続いている。
ここまで利益を獲れていない根本的な原因としては、直近の50年でほぼ半減という「沿線人口の減少」、高速道路やバイパスの開通の増加による「マイカー移動の増加」がある。それに加えて「もともとの立地の悪さ」「ライバルの登場」「鉄道の動線が移動需要から外れた」ことも大きいだろう。
まず、久留里線・久留里駅〜上総亀山駅間は立地は、ほぼ袋小路のような状態だ。
久留里線はもともと、木更津から房総半島を東西に貫く計画があったが、今の終点・上総亀山駅から先は工事に取り掛かれなかった。いわば「本来の目的を果たせなかった鉄道の末端部」なのだ。平山・松丘・亀山地区(いずれも君津市)は、房総半島の深い山の中に、7〜8キロほどの“面”で広がっている。一方で鉄道はあくまでも、レール上を“線”で進むため、人家もまばらで広い“面”から鉄道路“線”に乗客を集める、という集客策がとりづらいのだ。
また、久留里線の末端部でもある久留里駅〜上総亀山駅間には、高速バス「カピーナ号」(安房鴨川駅〜千葉駅)が並行。また高校への通学利用も、「木更津総合高校」「拓大紅陵高校」などの私立高校が久留里方面へのスクールバスを出しており、鉄道による通学は公立高校(木更津高校・木更津東高校など)頼みとなっている。
小学校・中学校への通学にも以前は使われていたが、この沿線では20年には中学校が小櫃地区に、21年には小学校が久留里地区に再編・集約されてしまい、広大なエリアからの通学はスクールバスが担うことに。頼みの綱である通学利用の減少も、運賃収入の減少、営業係数の悪化を招いている。
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